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レジリエンスジャパン推進協議会

産・学・官・民のオールジャパンで日本の国土強靭化を推進していこうという「一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会」の会合に出席した。国土強靭化のScopeは非常に広範囲に渡っており、インフラ・エネルギー・情報通信・金融・産業・コミュニティ・農林水産・教育・交通物流・保険医療介護福祉など国の全分野を網羅するほどの大きなものである。会の目的である「人命を守り、国家及び社会機能の致命的障害を受けず、被害を最小化し、迅速な復旧復興を可能にする」という理念からすれば、当然とも言えるScopeではあるが、却って活動の焦点がぼけてしまうのではないかとの懸念を私は持った。5月26日に行われた本会では、国土強靭化と地方創生に絞って各界のスピーカーが論壇に臨んだ。 話題のひとつは「東京一極集中からの脱皮」である。BCPの視点から企業の本社機能移転に触れていたが、公官庁機関が東京に集中している状況を放置して、企業だけ地方に行って産業を興してよという理論には無理がある。経済特区などの構想も進行しているが、その地域の強みや特徴に沿った支援策を打たねば、ただ優遇税制だけで動くほど企業は近視眼的ではない。第一次産...
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第六回早稲田会議(日立川村改革の2000日)

早稲田大学国際会議場 井深大記念ホールで、日立製作所前会長の川村隆氏の話を伺った。ちょうど日経新聞の私の履歴書で掲載されている川村氏は、日立が2009年に7873億円の最終赤字を計上し、子会社から呼び戻されて経営の舵取りを任されたのが69歳であった。日立は100年は当時輸入に頼っていた鉱山用掘削機を国産化したことが事業の始まりで、ベンチャー企業であったという。掘削機用のモーターや発電所、運搬用の鉄道を自力で開発し、今10兆円の大企業に成長している。しかし、同業他社と同様にバブル崩壊後の1990年頃から低迷が続き、その低迷は20年にも及んだ。川村氏によれば、その間3回立て直しのチャレンジをしたが、成功しなかったと言う。3兆円あった内部留保は1兆円に減り、今度失敗したら倒産するという危機感があったと言う。 日立が見事に事業転換を果たし、経常利益率10%を現実の目標とし得た今の姿は、①改革の意欲(尋常ならざる危機感 会社には10%ほどしかいない人材)、②外部からの視点を持った人(全く外部では困る、内部事情も知った子会社経験者~川村氏は3人の副社長を子会社から召還した)、③1年間は自身と副社長...
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Concurrent Management

Concurrent~という言葉はいくつもあるが、製造業に携わっている人であれば、真っ先に思い浮かぶのがConcurrent Engineering(CE)であろう。CEの始まりは1982年にDARPA(Defense Advanced Research Projects Agency/アメリカ国防高等研究計画局)が設計プロセスを向上させる研究をしたことが始まりとされている。開発の初期段階から設計・調達・生産技術・製造・品質管理さらにサプライヤーが参加して最適設計を実現しようという試みである。期待される効果は、リソースの有効活用であり、開発期間の短縮、原価低減などである。CEを日本語に無理に訳せば「同時進行技術活動」となろうか。まれに並列的(parallelly)と解説しているものもあるが、間違いである。ConcurrentもParallelも共に同時進行という意味合いはあるが、parallelではそれぞれが距離を保って交わらない活動になってしまう。これではCEの本質的意味を解していないことになる。 1990年代にはBPR(Business Process Re-engineering...
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今、改めて開発購買を考えてみる

数年前、とある会社で「購買本部」を「開発本部」に統合し、「開発・購買本部」とするという組織改革を行った記事を見た。「開発購買」という言葉は、製造業ではかなり市民権を得たものと思うが、それを文字通り体現したような英断なのであろうか。私はこの会社の詳細は分からないし、社内事情にも勿論精通していないので、その経緯や背景はわからない。なぜこの記事が気になったかというと、筆者が調達部門長として、開発購買のさらなる進化を目指していた時、開発設計部門と調達部門との融合をかなり真剣に具現化しようと議論していたことがあったからである。 蛇足ながら、開発購買を定義付けしてみると、「商品企画・開発設計段階から、計画利益を確保するために、製造原価や品質・納期などの目標を達成すべく、開発設計・調達・サプライヤーが三者連携で協働推進する一連の活動」と言えるであろう。そもそも開発購買は「製品開発段階での購買活動」の略であるから、設計者の行う仕様決定・図面作成の一連のプロセスに、市場環境やモノづくりに精通した専門家たるバイヤーが関与して、初期段階からのQCDの最適化を実現していく活動である。 サプライヤーの能力を十分...
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国民の義務と権利

中学校で憲法に定められた「日本国民の三大義務」を教わります。①保護する子女に教育を受けさせる義務(小中学校教育)、②勤労の義務、③納税の義務の3つです。教わって以降、普段疑問に思ったり、気にしたりすることはありませんでしたが、最初の海外赴任から帰国した91年7月後半、①について面を食らうことがありました。3人の学童期の子供がいましたが、もう一学期を数日しか残していないある日に区役所に転入届を出しに行った時のことです。親としては夏休み期間中に3年ぶりに帰国した日本に慣れてもらってから、二学期から登校すればいいという呑気な気持ちでいました。区役所の窓口では「子供には教育を受ける権利があります。明日から学校へ登校させてください。」と強い口調で言うのです。義務教育を受けさせるのは親の義務であり、子供の権利であるいうことですが、親として子供にしかるべきアイドリング期間を設けてスムースな日本の学校への導入を図るのが、親としての務めであるとの考えは今でも変わっていません。ショッキングな出来事として一生忘れえないお役所の対応でした(今はもう少し柔軟な運用が図られていることを願います)。 文科省が昨年発...
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次世代にツケを残すな

3月3日、経済同友会の岡本(日本生命会長)財政・税制改革委員長は麻生(副総理)財務相に消費増税を骨子とした財政再建提言を行いました。新聞紙上では、①消費税率を2018年度から毎年1%ずつ上げて、最終的には17%にする。②社会保障費は毎年5000億円削減(2014年度で国庫負担が31.1兆円あり、毎年1兆円規模で増加しています)。具体策として、75歳以上の医療費負担を現行の1割から現役所得者並みの3割に上げる、受診時の100円定額負担、高所得者への公的年金等控除の縮小等、③財政健全化法の制定、複数年度予算の導入、独立財政機関の設置等とまとめられています。 年明け1月21日に発行されたこの提言の中身を見てみましょう。標題には「財政再建待ったなし~次世代にツケを残すな~」とあります。そしてこの提言は①ツケを将来世代に回すことなく、法的拘束力のある仕組みをつくる、②財政再建に向けての国民理解の促進、③放漫財政と改革先送りでは破滅的な未来を迎える、④社会保障を「中福祉低負担」から「中福祉中負担」へという4つのポイントを掲げています。 一般に国民の理解という意味で一番浸透しているのは、財務省が先頭...
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日本は教育後進国?

OECDが発行した「Education at a Glance 2012」の大学進学率の国際比較によると、OECD加盟34か国の平均が62%。それに対して日本は51%と平均以下になっています。上位は96%のオーストラリアを筆頭にアイスランドが93%。アメリカは74%、韓国71%、イギリスが63%。日本より下位の国を見てみると、イタリア49%、スイス44%、ドイツ42%等です。 日本の大学進学率が相対的にそんなに低いのか?と直感的に感じて、色々と調べてみました。そもそもこの統計の定義は何か。OECDの大学進学率は、各学年(留年生を除く)を年齢別に集計し、その数を各年令の人口総数で割り、それぞれの割合を合計した数値を進学率と定義しています。ここに大きく影響する要素は留学生と社会人学生です。分母はいわゆるその国の現役大学生年齢の対象者になりますが、分子は外国から勉強しに来た留学生や、職を一旦辞めて勉学を志す社会人などが入ってきますので、理屈としては100%以上にもなり得る数値です。上位国と比較して日本は、留学生にとって魅力的なカリキュラムを提供できているのか、社会人が生涯学習に取り組む下地が...
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高倉健さんの愛読書

2012年9月10日NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀 高倉健SP」で紹介された健さんの愛読書をやっと読むことができた。それは健さんが常に持ち歩き、随所に赤線を引っ張り、ボロボロになるまで何度も読み返したという「男としての人生――山本周五郎のヒーローたち」(木村久邇典著、グラフ社)という本である。当時アマゾンで調べたら書籍は絶版、中古品は7万円もしていた。そんなに人気があるなら再版されるだろうと高を括っていたが、今日までその動きはない。今やアマゾンにさえ出品はない。「男としての人生」を改題・新装復刊した「山本周五郎が描いた男たち――さまざまな男の心情 15の物語」という本もあるが、こちらも絶版。ヤフオクで5万円程の値段で出品されている。いずれにせよ再版されないのは不思議でならないが、それを出版社に問い合わせるほどの情熱まではなかった。図書館に予約し1年4か月待って漸く手元に届いた「男たちの人生」であった。私は待ちに待ったその本をあっという間に読了したものの、正直感動するというところまでは至らなかった。 健さんはこの本のどこにそんなに惹かれたのか。内容は、朝日新聞社時代に周五郎の担当...
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価格下落率1位ナフサ、そして原油

ナフサは2014年取引相場でドルベースで一番の下落商品となりました。年間で51.1%下げて487ドル/トン(120円/$換算で4万円強/kl)になったと12月27日付け日本経済新聞が報じています。ナフサの原料は原油で、この原油の価格下落(48.4%)が直接的に影響しています。ナフサとは元来ギリシャ語やラテン語で原油を意味する言葉から来ていますが、今では石油精製品のひとつとして定義づけられています。原油を加熱炉で350度まで熱し、蒸留装置によって沸点の低い方から、LPガス、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油、重油などのさまざまな石油製品に生まれ変わるわけです。さらにナフサは分解装置等で重さによって軽い方から、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの石油化学製品になっていきます。 ナフサの価格は基本的には原油価格に連動し、その都度都度の為替レートによって換算されます。原油価格は需給によって形成されるとは言うものの、大きくは政治情勢に左右されると言っていいでしょう。70年代半ばまで6000円/klだったナフサの価格は、第四次中東戦争を引き金に発生した第一次オイルショック...
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価格高騰率1位のコーヒー豆から見える世界

2014年年間で最も取引価格が上がった商品はコーヒー豆である。12月26日付け日本経済新聞によるとサントス産No.2はキロ当たり605円と49.4%高騰したと報道されました。2000年からの価格推移を見てみると2001~2年を底に2011年まで一気に6倍にまで跳ね上がり、その後2014年初頭までは3分の1近くまで値を下げ、2014年また2倍に高騰しています。 コーヒー豆は通常、豊作と不作を1年ごとに繰り返すそうです。というのは豊作の翌年コーヒーの木の体力が弱まり、収穫量が減ってしまうからです。2013年は前年が豊作だったことから不作が予測されていましたが、実際には想定より豊作となってしまい価格が下落しました。そうすると生産者の多くが収穫して安値で売るよりは、剪定や植え替えなど木の手入れを優先して収穫を落としたことと天候不順が重なり2014年は逆に価格が高騰してしまったというのが専門家筋の解説です。 ご承知のようにコーヒー豆の生産国はブラジルが世界の3分の1を占めて首位、以下ベトナム、コロンビア、インドネシアと続きます。コロンビアのコーヒー豆は高品質で人気が高いですが、山地の斜面で栽培し...