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スイスと日本

スイスと日本は共通点が多いと言われます。資源が少なく石油を輸入に頼っている点、狭い国土で山が多い、工業製品を輸出して外貨を稼ぐ加工貿易。最近は円安に振れていますが、かつては円もスイスフランも強い通貨の代名詞でしたから、共に輸出価格競争力を奪われる中でグローバル競争を生き抜いてきたという点でも共通項があると言えると思います。 自然景観に恵まれた両国ですが、観光立国という視点で比較してみると、日本は2013年の統計で外国人観光者数が1000万人を超え、ランキングとしてスイスを追い抜いています。スイスの観光客はドイツを筆頭に隣国からが多いのですが、多分物価高もあって観光客は減ってきているようですが、最近は中国など新興国からの観光客を呼び寄せようと努力しています。しかしながら、人口を超える800万人もの観光客が訪れるという意味では日本と比べてもまだまだ先輩格の立派な観光大国と言えるでしょう。ちなみに訪日外国人御三家は韓国・中国・台湾で全体の半数以上を占めますから、日本の「おもてなし」や「Cool Manga Animation」に代表される素晴らしさをもっとアピールしていけば、まだまだ今後の成...
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ロボットと人類の未来

ソフトバンクグループの決算説明会で孫さんが今後の成長戦略について語りました。イソップ童話の「金の卵を産むガチョウ」になぞらえて自社の成長を投資家に支えてもらえるようにわかりやすく説明しています。ある農夫は自分の飼っていたガチョウが毎日金の卵を産むようになって、それを毎日売って換金し、お金持ちになりました。さらに強欲になってしまったその農夫はガチョウの腹の中には沢山の金の卵があるにちがいないと思い、腹を切り裂いてしまいました。しかし腹の中には金の卵がないばかりか、肝心のガチョウを殺してしまうことになり、全てを失ってしまったという寓話です。ソフトバンクグループはEコマースの成長を予見し、アリババのような小さな会社に投資をし、今年NY株式上場を果たした結果、時価総額29兆円という世界でも10指に入る大企業にアリババは成長しました。これからはインドの成長を見越して同じEコマースのsnapdeal.comや配車プラットフォームのOLA(ANI Technologies)等に総額900億円の投資を決定しています。そして十数年後にはアリババのような投資回収ができるであろうソフトバンクを通信会社という...
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哲学のある歯科医から学ぶこと

今年に入って歯を一本失いました。近所の歯科医に何軒か行きましたが、話や治療に納得できずに、結局高校時代の同窓生の歯科医を頼って都心の大学病院まで出掛けました。気心が知れているので、残された人生時間を考え不安に思うことを十分納得できるまで話が出来て良かったと思っています。結果として自ら抜歯を選択しましたが、これからの毎日のデンタルケアについて自分なりのスタイルが確立できたかなと思っています。そんなこともあって、たまたまテレビの番組欄で見たプロフェッショナル仕事の流儀という番組の「『ぶれない志、革命の歯科医療』歯科医・熊谷崇氏」を視聴してみました。 熊谷氏は、自身の診療所に通う子供の8割が20歳になっても虫歯が一本もない、70~80歳の高齢の患者さんも永久歯が数本しか欠落していない等、世界屈指の実績を上げています。その根底にある氏の哲学は患者に自分の口の中の状態を良く知ってもらって、自分の歯を守りたいという意識を強く持ってもらい、虫歯や歯周病にならないような予防を徹底するというものです。初診の患者にはすぐには治療に取り掛からず、口の中の写真を10枚以上撮影し、唾液検査を行い、歯科衛生士が丁...
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遺伝子検査

しばらく前から「遺伝子検査キット」なるものがネットでも売られています。お値段はたったの29,800円なので、家族家系内に遺伝因子の影響が強い疾病をお持ちの方はやってみたいという衝動に駆られて当然のことであろうと思います。ヒトのゲノムの全塩基配列は約10年かけて解読作業が行われ、2003年に完了宣言がされました。それは1953年のDNAの二重らせん構造の発見からちょうど50年後のことでした。 手近な遺伝子検査キットをググってみると、「日本人の2/3近くが生活習慣病で亡くなっています。大事な家族のため、自分自身のためにも病気のリスク、体質を知って、食事・運動などのライフスタイルを見直すことで、今からあなたにあった予防を実践しましょう」とあります。検査項目は脳梗塞、心筋梗塞、2型糖尿病、胆石、尿路結石症、腰痛、痛風、不眠症、円形脱毛症、花粉症、緑内障、アトピー性皮膚炎、貧血傾向、十二指腸潰瘍、アルコール、ニコチン依存症、過食症、長寿・寿命など全70項目となっています。最近では遺伝子検査によるダイエット指導や肌老化対策など美容に特化して顧客誘引しているところもあります。 先般、東京医科歯科大学...
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同一性と変化の矛盾

植民地時代において侵略国に勝手に線引きされた国境によって、民族対立による内戦は世界中のどこかで止むことなく続いています。宗教あるいは民族を基にした同一性の反映でもありますが、歴史を紐解くとその同一性や継続性の根拠は薄弱であることが少なくありません。企業においてもDNAの話は時折話題になり、凋落している企業には「~らしくない」「~らしからぬ」といった修飾語で語られることがあります。一方、企業トップは「変わらないのが最大のリスク」と号令をかけて、変革を促します。よく「変えてはいけないものは維持継承し、変えるべきは大胆に変える」といった指針が出たりしますが、果たして何を変えずに、何を変えるかが具体的に語られないと従業員は戸惑いますね。 ギリシャ神話で「テセウスの舟」というお話があり、ギリシャ時代から議論され続けているテーマのひとつです。ある漁師が木の舟を漕いで毎日魚を捕りに行く。来る日も来る日も魚を捕りに行くので、木の舟は傷んでくる。腐るところも出てくる。岩にぶつけて破損してしまうこともある。その都度、漁師は新しい木で修繕をする。漁師は歳を取り、もう漁には出られなくなる日が来る。そしてその息...
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企業の社会的責任と環境保護

ニールセンが今年第一四半期にインターネットが利用できる世界60か国の各国1000人規模に調査を行ったところ、3年前に比較して45→55%と10ポイント「社会・環境活動に積極的に取り組む企業が提供する製品とサービスをもっと購入したい」と回答しました。私は二つの点でこの調査結果に興味を持ちました。 ひとつはたった3年で10ポイント伸びて、世界中の消費者の半数以上が企業ブランドを社会的責任や環境保護といった視点で見ているということです。もう一点は、この調査を地域別に表すとアジア太平洋(64%)、中南米(63%)、中東・アフリカ(63%)、北米(42%)、欧州(40%)となっていて、環境意識の高い欧州が地域別で見ると最も低く、次いで北米と先進地域は相対的に低い値となっていることです。この結果には正直驚きました。この結果は色々な解釈ができると思いますが、社会環境意識の高い欧州がその経済的停滞によって、以前より意識が低下したと見ることもできるでしょうし、多くの欧米企業がその社会環境意識に対応し、ある種当たり前になってきてしまった結果、それほど大きな選択要因にならなくなってしまったと見ることもできる...
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学校教育の改革待ったなし

大辞林には「教育とは他人に対して意図的な働きかけを行うことによって、その人を望ましい方向へ変化させること。広義には、人間形成に作用するすべての精神的影響をいう。その活動が行われる場により、家庭教育・学校教育・社会教育に大別される」とあります。社会教育を除いては、主に未熟な人間に対して成熟した人間が何らかの働きかけを行って、その成熟した人間の思う望ましい方向へ導くという意味合いがあります。一番身近な例は親子の関係です。最近はMonster Parentなる人達が登場して学校教育の現場を混乱させているようですが、学校教育に躾から学力から試験対策まで何でもかんでも期待するのは明らかに間違っています。教育基本法の義務教育の規定には「各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする」とあります。前段は個人の、後段は国家及び社会という集団に貢献する人間形成を行うという目的を掲げています。親として子の幸せを願い、思うところの教育を施すことは必ずしも教育基本法の精神と100%合致するとは...
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Sustainabilityと人間の欲望

暑い夏が続いていますね。去年は鰻の稚魚が激減して、蒲焼の値段が高いという理由に加え、そんなに減っているのであれば、鰻だけが食べ物ではないしということで土用の丑の日にも遠慮して食べるのを控えました。今年は稚魚が豊漁で卸値も2割ほど安いと聞いていましたので、遠慮せずに何回かいただきました。食べるとやはり美味しいですし、あの口全体に広がるふわふわ感と香ばしい香りは、間違いなく幸福感を運んできてくれます。あくまで気分の持ち様なのでしょうけれど、元気になったような気もします。 しかし、残念ながら世界の科学者らで組織する「国際自然保護連合(IUCN)」は今年6月、絶滅の恐れがある野生生物を指定する最新版の「レッドリスト」にニホンウナギを加えました。法的な拘束力はありませんが、資源量が回復しなければ輸出入が規制され、将来更なる取引価格の上昇を招く可能性があるとのことです。指定の理由は生息地が減少したことや過剰な捕獲、環境汚染や海流の変化も考慮した結果であるという説明です。ニホンウナギは東アジアに広く分布する回遊魚です。回遊魚は、地球環境レベルで海流や水温が変化すると、それに伴ってエサとなるプランクト...
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Conscious Capitalism

「世界でいちばん大切にしたい会社」コンシャス・カンパニー(翔泳社)は多くの示唆に富む好著である。ここで語られるのは、ホールフーズ・マーケットの創業CEOであるジョン・マッキー氏が自らの体験に基づき自社を「人を幸せにする経営」に変貌させていった挿話と、短期的利益重視に立った経営と長期的視点に立った経営では後者が好業績生むという数多の実例である。冒頭では、この四半世紀資本主義は正しい軌道から外れてしまい、歴史上最も富を作り出せる素晴らしい仕組みであるにも関わらず、ほとんど悪者として非難の的になってきたという認識から始まる。労働者を搾取し、消費者を騙し、金持ちばかりを優遇して貧乏人には冷たく当たって不平等を作り出し、個性を認めず、コミュニティを分断し、環境を破壊する元凶として描かれがちな資本主義。企業家や経営者は利己心と欲得で動くものとレッテルを張られ、時に罵詈雑言を浴びせかけられる存在となってしまった。筆者は「縁故資本主義」(様々な規制を政府が作り、政治とコネがあるビジネスが有利となって正当な競争が阻害されているもの)がその代表例で、その土壌の広がりが誤解を生んでいると指摘している。日本の...
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財政再建はドイツには出来て日本には出来ないのか

ドイツが2015年に財政均衡を実現し、赤字国債の発行を46年ぶりに停止する見通しとなったと7月3日にマスコミ各社から報道された。2日に閣議決定された予算案では好景気で税収が膨らんで財政赤字が消滅。借金をしなくても歳出が賄える状態になるとのことである。 一方、日本政府は、2013年6月に骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針)を閣議決定し、中長期の財政健全化に向けて2020年度までに黒字化するという財政健全化目標を掲げた。目標通りいけばドイツに5年遅れということになるが、本当に可能なのかどうか不安視するのは私だけであろうか。 ドイツの単年度財政収支は実は2012年から黒字転換しており、政府総債務残高も2012年をピークに減少し始めている。GDP比率で見ても1992年の40%からジリジリ上がり2012年には82%まで上昇したが、今年は70%台半ば、2017年には70%を割り込む見込みと報じられている。 日本の政府総債務残高のGDP比率は今年242%、ほぼずっと一貫して上昇し続けている。日本が高度成長を謳歌している時期には資産も増加し、負債が増えても大きな問題にはならないが、日本のそれが80...