100年前に起きた第一次世界大戦から今日まで
1914年6月サラエボでオーストリア=ハンガリー帝国の皇太子夫妻が暗殺されたことを引き金に起きた第一世界大戦は第二次世界大戦に比べて日本人の記憶に実感としてほとんど残っていないのが実情であろう。 しかしながら、その時代背景は今日本を取り巻く状況に酷似している。その意味で今一度第一次世界大戦を考察してみることは意味深いことであると思う。ひとつは今でもボスニア・ヘルツェゴビナでは英雄視されるボスニア系セルビア人の暗殺実行青年ガヴリロ・プリンツィプの存在。初代韓国統監を務めた伊藤博文を暗殺した安重根の記念館が今年1月に中国のハルビン駅に開設されたことを想起させる。ガヴリロ・プリンツィプのオーストリアでの存在は、身ごもっていた皇太子妃をも殺した残虐な人間として憎しみの対象となっている。暗殺グループは7人で構成されていたといいガヴリロ・プリンツィプは下っ端の実行犯。決して発作的に銃弾を向けた個人の単独事件ではない。それまでセルビア人の感情を逆なでする事柄が色々あったと記されている。だからといって暗殺が正当化されるはずもないが、事が起こってからではもう遅い。事件が起こった理屈付けは必ずできる。正当...