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人間とチンパンジーの違い

京都大学霊長類研究所に松沢哲郎博士という方がおられます。画面に現れた9個の数字を0.5秒で記憶して、それを順序通り再現タッチできるというチンパンジーを映像でご覧になった方もいるのではないでしょうか。博士の研究の一端に触れる機会がありましたので、ちょっとご紹介をしたいと思います。博士はチンパンジーの知性の研究を通して、人間との比較からある特徴について仮説を立てておられますが、それが私の興味を引きました。 (昨年は文化功労者に選出されました) 人間とチンパンジーは500万年前に独自の進化の道のりを歩んだと言われていますが、98.77%のゲノムが共通であることがわかっています。冒頭の数字記憶再現タッチでは人間を遥かに凌ぐ能力をチンパンジーは持っていることが証明されました。これを博士はチンパンジーが人間とは違って、自然界を生き抜くために今ここにあるものを鋭く見極める能力が必要であったためと論じています。このチンパンジーの認知スタイルは目の前に見えているものがすべてであると捉えて、それを細かい点に至るまで観察し、記憶することに注がれていることを示しています。人間の男性と女性の記憶力の違いも良く話...
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アヘン戦争~東洋の没落と西洋の勃興の分水嶺~

久しぶりに一気に読み終える本に出会いました。ライフネット生命保険株式会社の出口治明会長兼CEOの書かれた「仕事に効く教養としての『世界史』」という本です。私が購入した本は出版から1か月も経たないうちに第三刷になっていますから結構売れ行きも良いのだろうと思います。タイトルの「仕事に効く」っていうところは個人的に編集部のセンスを疑いますが、題名を置いても、中身は歴史観において新しい視点を沢山提供してくれる好著です。著者は保険会社を退職後、大学の講師などを経て現職に至りますが、これまでに訪れた都市が1000以上、読んだ歴史書は5000冊以上という博覧強記ぶりとそれを基にした大河的視点を著書の随所に見せてくれます。 私の世代が習った世界史は明らかにヨーロッパ中心の西洋史観で、ギリシャ・ローマから始まりキリスト教の流れを本流に、騎馬民族は北方の脅威で荒くれ者の集団、バイキングは北方の海賊、ムスリムは傍流異端、アジアは野蛮な後進国、自由主義を建国の旗印にアメリカが栄え、ソ連邦の崩壊による冷戦終結を経て、歴史を先導した欧米の価値観がこれからも主流を形成するといったものと記憶しています。日本にとっては...
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ビッグデータ活用と組織の健全性

企業経営者は常に現状に何らかの不満を持っており、その現状打破のための新しいパラダイムやコンセプト、テクノロジー、トレンドには敏感である。敏感なことは良いことであるが、得てして万能薬を得られるかのような錯覚に陥り、十分な思慮がないまま形だけ導入して失敗することが数多ある。新しいシステムを導入しても、それを従業員が使いこなせなくては無駄な投資になるし、景気後退を理由に投資を途中で削ってしまい重要Module欠落のまま中途半端なシステム稼働をして全く当初の期待値を得られないばかりか、対投資効果マイナスという例もよく聞く話である。要は道具とそれを使う人間のバランスが重要ということである。使い方を知らなければ道具は宝の持ち腐れであるし、知恵を使うことによって何の変哲もない棒切れが命を救う道具に変わることもあり得る。 ここ数年でビッグデータという言葉はすっかり市民権を得たようで、その運用システム会社のみならず統計学の専門家などが表舞台に現れる状況になっている。ビッグデータでは、効率的に許容経過時間内に大量のデータを処理する卓越した技術、たとえば超並列処理データベースやデータマイニンググリッドなどが...
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漢字を廃止せよ(昭和20年11月12日付け読売報知新聞)

本日付け日本経済新聞の「熱風の日本史」というコーナーで、アメリカが太平洋戦争後に日本から軍国主義を一掃し、民主主義を根付かせるために「漢字の全廃・ローマ字採用」という動きを掛けたことを紹介しています。その論拠となったのが、日本人は漢字学習に膨大な労力を費やしているため、国際社会で常識的な知識を習得する時間がなく、愚民化されてきたというものです。驚くのはこういった主張に日本人自ら同調している人が少なからずいたことです。改革派の国語学者の金田一京助やフランス文学者の桑原武夫などもその賛同者で、志賀直哉に至っては「一番いい、美しいフランス語を国語にしよう」と、本人はフランス語を解さなかったにもかかわらず、こういった珍論を展開したそうです。 明治維新前後にもそのような動きはあり、前島密が徳川慶喜に仮名書き化を建白したとか、森有礼が英語国語論を唱えたとかしたことも紹介されていました。これらの動きは「多くの日本人が過去の日本に自信を失って、初めから出直しだと思った時に盛んになる」と中国文学者の高島俊男氏は「戦後国語改革の愚かさ」で述べているそうです。 小渕内閣の私的諮問機関『「21世紀日本の構想」...
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グローバル・イノベーター

東京エレクトロン株式会社とApplied Materials, Inc.は、昨年9月24日、半導体およびディスプレイ製造装置業界における「グローバル・イノベーター」を目指し、株式対価による経営統合の契約を締結したことを発表しました。業界第1位と第3位の経営統合により第2位のASMLの2倍の売上規模になります。しかし、今後さらに大規模な開発投資が求められる半導体業界で生き抜くには、インテルやサムスン、TSMCといった大手に対して対抗できる知力と体力が必要でしょう。その決断をされた統合新会社の会長に就任される東哲郎氏のお話を伺う機会を得ました。東氏は経営者としては異色の経歴で大学時代には哲学や社会学、そして修士課程ではオランダ経済史などを学び、将来は学者の道を志していたそうです。卒業間際に就職する決意をし、当時社員200名・売上200億円規模の東京エレクトロンに28歳で入社し、96年から18年間トップを務めておられます。東芝会長の西田厚聰氏にも専務時代にお会いしたことがありますが、修士課程では西洋政治思想史を学ばれ、その関係で日本政治史を勉強されていたイラン女性と結婚されています。お二人と...
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健康と科学

昨年末にIBMが今年で8回目になる「今後5年間で人々の生活を変える5つのイノベーション」を発表しました。その5つは次のようなものです。 クラスルームが生徒について学ぶ 地元での買い物がオンラインに勝る 健康維持にDNAを活用する デジタルの番人がオンライン・ユーザーを保護する 都市が市民の生活を支援する 全て深堀したくなる興味深い項目ですが、今日は3番目の「健康維持にDNAを活用する」に触れてみたいと思います。世の中には原因が解明されていない難病や治療法が確立していない重篤な病に冒されている方が少なからずおられると思います。最近報道されたSTAP細胞は若いマウス実験だけでの再現ではあるものの、これまで発表されてきたiPS細胞やES細胞などの万能細胞より短期間で簡便に(つまり安価に)細胞の初期化が行えるという点において、将来の応用の可能性が大きいと言われています。 人は死を免れることができませんが、生きている限りは極力痛みにさらされることなく、幸せに生きることを願っていると思います。PPK(ピンピンコロリ)が一番いいねと言われる所以です。 一般の方の死因というのは、やはりガンが一番多く、...
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SNS

皆さん、新年あけましておめでとうございます。先月、父が亡くなりましたので喪中ということで自重していないといけないのでしょうが、やはり新年を迎えることは気持ちが新たになるというか、清々しい気持ちになりますので、新年の挨拶から始めさせていただきました。毎年元日の新聞は何部にも構成されて厚厚しいものが配達されますが、日経新聞一面の「リアルの逆襲」という記事で後半部に各国首脳の採点が載っていました。各首脳の国家運営をどこかの専門機関が事実に即してその力量を採点したわけではなく、サンフランシスコの新興企業クラウトがネット上の影響力をもとに100点満点で採点したものだそうです。ちなみにオバマ99点、朴83点、安倍70点。多くの日本人がいささかの不満を感じる結果とは思いますが、日本の発信力を高める必要性は多くの人が認めるところでありましょう。この採点に使うのがFacebook(FB)やTwitterなどのSNSでの書き込みに対する反響の大きさ、学歴・職歴、SNSでの友人数などのネット空間に漂う個人情報で、それらを集めて独自の計算式で総合評価を出すそうです。米企業ではこのクラウトの高得点者を採用で優遇...
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父の死

12月12日12時過ぎに電話が鳴った。父の死を知らせる電話だった。満87歳(昭和2年2月2日生まれ)を迎えようという年齢であったし、病院通いをしていた時期もあったので、私としては心の準備をしていた積りであったが、やはりその知らせは「突然」であった。故あって父とは過去20年で一度しか会っていない。最後に会ったのは6年前、生前お世話になった大叔母の葬儀の場であった。父は私が現れることを全く予期していなかったのか、老人性痴呆症からなのか、その場での第一声は「どちら様でしょうか?」であった。さすがに名前を告げると「おぉ、来てくれたか」という返事であったが、父の放蕩にあきれ果てずっと別居していた母に対しても同様の「挨拶」であったことを後日聞いた。そんな父のあっけない最期の知らせであった。 兄夫婦が実家の近くに住んでいて、葬儀の手配を進めてくれていたので、知らせを受けて、取るものも取りあえず「父」が安置された大学病院に向かおうとしていた私は、その日は兄に頼り全てを託すこととして、翌朝の出立とした。葬儀場に着くと大きな和室の部屋で「父」は装束を纏い静かに眠っていた。長年の無沙汰を心で詫びつつも、勝手...
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調達組織の在り方とその活性化

10~11月にかけて講演会・企業セミナーなどいくつか続けて行いました。事務局が参加者にアンケートを取ってくれるので、参加者のフィードバックや調達に携わる人たちが今どんな悩みを抱え、どんなアドバイスを求め、どんなことを知りたがっているのかなど多くの参考情報が手元に残ります。そんな内容を咀嚼しながら、来年以降の演題に考えを巡らせています。参加者の質問やアンケートによく記載される項目のひとつに「人材育成」があります。このグローバルな市場で活躍できる人材がいない、どうしたら良いか?というのがその典型例です。 企業によっては「人財」と表記して人材を重要なAssetとして認識しているところも少なからずありますが、人を育成していくということは長期的視野に立って時間を掛けて行うものなので、業績が悪くなったから人材育成に掛ける費用を削りますなんて言っている会社はそもそも人材育成を語る資格はありません。言っていることとやっていることにGapが生じる理由の一つはManagementのKPIに人を育てたら評価される仕組みがないことです。予算は取っても、その結果を追わなければ、予算の無駄遣いか、予算未消化のいず...
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Blockbuster全店閉鎖発表

米ビデオレンタル大手のブロックバスターは来年1月前半迄に営業中の直営店約300店を全店舗閉鎖すると発表した。ピーク時3000店を誇ったブロックバスターは日本で例えるならTSUTAYA。そこが全店閉鎖してしまうマグニチュードは想像に難くないであろう。インターネットを通じた動画配信が主流となり、DVDレンタルの需要が急激に縮小しているため、全店閉鎖に追い込まれた恰好である。私が駐米中にはアメリカ人の定番として金曜日には好きなDVD(古くはVHSカセット)を何枚も借りてきて、友人と一緒にポテチしながら 「ながら視聴」して深夜まで楽しむのがかなり一般的だった。DISCレンタルからNetworkへの転換を象徴する出来事である。この流れは必ず日本にもやってくる。 ブロックバスターは現在、米衛星放送2位のディッシュ・ネットワークの傘下であるが、遡ること2010年9月に連邦破産法第11章を申請して倒産に追い込まれた。ブロックバスターを倒産に追いやったのが、店舗を持たずに郵送でDVDを貸し出すネットフリックスなどの新業態である。ブロックバスターも遅ればせながら 郵送でのDVDレンタル業務で追随したが時遅...