ブログ

ブログ

レジ袋有料化

経済産業省のHPを見ると、「2020年7月1日よりレジ袋有料化がスタートします。プラスチックは、非常に便利な素材です。成形しやすく、軽くて丈夫で密閉性も高いため、製品の軽量化や食品ロスの削減など、あらゆる分野で私たちの生活に貢献しています。一方で、廃棄物・資源制約、海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化などの課題もあります。私たちは、プラスチックの過剰な使用を抑制し、賢く利用していく必要があります。」「このような状況を踏まえ、令和2年7月1日より、全国でプラスチック製買物袋の有料化を行うこととなりました。これは、普段何気なくもらっているレジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考えていただき、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとすることを目的としています。」とある。プラスチックの有用性について言及したあとに、プラスチック生成及び廃棄に際して課題があることを指摘し、ライフスタイルを見直すきっかけを目的にしていると結んでいる。 NHKの国際報道によると、いち早く有料化に踏みきったのが中国で、12年前の2008年から取り組みを始めているという(別の記事で2006年ルワンダでレジ袋原則禁...
ブログ

人種差別問題に揺れるアメリカに想う

2020年5月25日に米ミネソタ州で白人警官が黒人男性ジョージ・フロイドさんの首を8分以上膝で地面に押し付け、死亡させた事件が発生した。この事件をきっかけに全米はおろか各国にBLM(Black Lives Matter:黒人の命は大切だ)デモ活動が広がりを見せている。SNSによる動画配信はその生々しさと拡散性をもって大きなうねりを作り得る存在になった。 フロイドさんが亡くなるまでの間に「息ができない」と20回以上訴えていたことや、助けを求めて「殺される」と繰り返していたこと、閉所恐怖症で警察車両に入れられることを拒んだこと等が合わせて報道された。 そもそもフロイドさんはどのような経緯で拘束されたのか?フロイドさん行きつけの食料雑貨店で偽20ドル札を使った容疑で警察に拘束されている(使われた20ドル札は本物であったのか、偽物であったのかは公にされていない)。ミネアポリス警察はフロイドさんがアルコールか薬の影響下にあって、身体的に抵抗したと主張している。フロイドさんは身長193センチ体重101キロ、過去に窃盗や薬物所持で逮捕されている前科者である。2007年にはヒューストンで住居に侵入し武...
ブログ

テロとコロナの共通点

新型コロナウイルスは世界へ瞬く間に広がり、未だ収束の目途が立たないでいる。コロナウイルスそのものはこれまでヒトに蔓延している風邪のウイルス4種類と、動物から感染する重症肺炎ウイルス2種類が知られている。今回の新型コロナウイルスはその感染力の強さや再陽性、症状の多様性など未知の領域が多く、単なる風邪の一種とは言えない後者に分類されるもので、世界中の人々を恐れさせている。私も自粛の最初のころは「所詮、風の一種だね」と軽く考えていた節があったし、これまでまとまった時間が無いことを言い訳にしてできなかったことをやる機会に恵まれ、充実した時間が持てると比較的楽観的に捉えていた。ところが事態が長丁場の様相を呈することになり、仕事も完全休業状態、自粛三か月目に突入すると流石にこれといってやることもなってしまった。これまで買うほどのものではない本は図書館から借りて読んでいたが、それもごく最近までサービス停止であったので、再開まで待てない本は本屋やネットで買い求めることとなる。 「21 Lessons」は”21世紀の人類のための21の思考” の副題が付いているユバル・ノア・ハラリ氏の最新刊である。氏はこ...
ブログ

バルト三国の歴史(ヒトラーとスターリンの間で)

バルト三国はバルト海の東岸、フィンランドの南に南北に並ぶ3つの国で、面積は日本の半分にも満たない小国群を指す。北から順にエストニア・ラトビア・リトアニアと、それぞれ公用語を持つ独立国家であるが、その自立への道のりは苦難そのものであった。今では中世ヨーロッパの歴史的建築物が保護されている世界遺産として観光地としても有名である。エストニアのタリン歴史地区、ラトビアのリガ歴史地区、リトアニアのヴィルニュス歴史地区それぞれの首都の美しい街並みは中世ヨーロッパに紛れ込んだような感覚に誘ってくれる。 バルト三国は18世紀まではロシア帝国の支配下にあったが、1914年に第一次世界大戦が勃発すると、リトアニアとラトビアの南部は翌年ドイツ軍に占領される。その後、1917年ロシア革命に成功したレーニン革命政権が民族自決を掲げると、その影響を受けてエストニア、ラトビア北部においてボリシェヴィキ武装蜂起が起こり急速に独立の機運が高まった。しかし、翌1918年3月にソヴィエト政府がドイツ等中央同盟国との間で締結したブレスト=リトフスク講話条約において、ソヴィエトは大戦からの離脱を表明した。その折にソヴィエトはウ...
ブログ

覇道と王道

覇道とは為政者が徳によらずして武力や権謀を以って行う支配の仕方である。王道とはこれに反して、統治するに仁徳をもってする政治の仕方である。前者は韓非子などの法家の思想で、法治主義である。中国統一を果たした始皇帝も、宰相として李斯を登用して法家思想による統治を実施したとされる。一方、後者は孔子を開祖として戦国期の孟子(性善説)によって形作られた儒家の考え方で徳治主義である。滝沢馬琴(曲亭馬琴)が著した「南総里見八犬伝」で「犬」の字を含む名字を持つ八犬士が、それぞれに仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の文字のある数珠の玉を持っていたが、まさにこれらが儒教の徳性である。 中国の各王朝は表向きはつねに儒家を尊び、孔子を聖人とし、「礼」(道徳的な規範)をもって自らを律する儒教を政治道徳の鑑としてきたが、実際の政治の運営は法家の思想を手引きとして行われてきた面が大きい(もっとも今の中華人民共和国は法治主義というより、党治体制であるが)。儒家が表の、法家が裏の思想と言われることもあるが、歴史的には儒家の思想が荀子によって変遷し、それが韓非に引き継がれていったという説が定説となっている。つまり孔子が生きた春...
ブログ

檄 三島由紀夫

「三島由紀夫vs東大全共闘〜50年目の真実〜」を観た。コロナ禍で映画館も空いていて20人程の観客。いわゆる3密(密閉・密接・密集)の2条件はクリア。コンサートでもクラシック・コンサートは感染確率が低いらしい。なぜなら喋らないからである。感染爆発を抑えなければならないのは勿論だが、経済不況による死者も想定しなければならない。これまでの政府の対策を批判することは簡単だが、この状況下でのかじ取りは本当に難しい。 三島由紀夫が陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で益田総監を監禁し、バルコニーにおいて自衛官1000名ほどを前に、「檄」を撒布して演説を行い、その後、割腹自決を遂げたのは1970年11月25日のことである。当時私は小5であったが、そのニュースや翌日の新聞に掲載された、その最後の生々しい写真は未だに鮮明に記憶に残っている。 三島の生涯は45年という短いものであったが、遺した作品数は多く642である。「金閣寺」「潮騒」「仮面の告白」など代表作があるが、私自身は一作品たりとも全文を読み切っていない。作品そのものにはあまり興味を持てず、一方、三島の人生観や自決に至る思想にはずっと興味があった。 小5の私に...
ブログ

イスラエルの人口増加

イスラエルはシオニズム運動(ユダヤ人・ユダヤ教・ユダヤ文化の再興)を経て1948年に建国された国である。面積は四国を少し大きくした程度の小さな国である。人口は900万人を超えているが、過去30年の間に450万人から倍増している。一人当たりのGDPは4万ドルを超え、日本より上位に位置している先進国家である。 イスラエルのイメージはパレスチナをめぐってアラブ人との戦闘がずっと続いているというのが一般的であろう。時折TVで観るイスラエルのネタニヤフ首相は強硬で好戦的なイメージすら感じられる。イスラエル建国70周年を迎えた2018年に米トランプ大統領はエルサレムをイスラエルの首都として正式に認めると発表し、在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移転した。自身の支持基盤(正統派ユダヤ教徒や福音派キリスト教徒)に向けた選挙公約を守った形だが、パレスチナ自治政府のアッバス議長は「嘆かわしい」と呼応した。ネタニヤフ首相は「歴史的」な政策転換だと歓迎したが、式典でのツーショットは中東和平を脅かすものとして多くの人々に映ったであろう。 折しも新型コロナウィルスの感染拡大で、日本では全国の小中高等学...
ブログ

初等科國史

昨年10月に[復刻版]初等科国史が配本された。これは戦時中に国民学校(小学校)で歴史教科書として使用されていたものである。戦後すぐにGHQにより廃止・回収・処分され、日本の歴史から抹殺された教科書である。敗戦後、GHQ占領下で日本国民は、ほぼ洗脳に近い形で思想教育をされたことは、今や明らかにされた事実である。端的に言えば、日本の弱体化(二度と西洋国家に歯向かうことのないように)と民主化(戦争遂行に有効な縦社会の命令系統の破壊)を推し進めた。 具体的には陸海軍の解散、軍需産業の停止、治安維持法の廃止、特高警察の廃止、財閥解体、農地改革(大規模地主から国が強制的に土地を買い上げ、それを安く小作人に売り渡す)、皇室財産の接収(当初、天皇制の廃止を目論んだが、国民の総反乱に合うかもというマイナス面、あるいはアメリカの目論みに利用し誘導できる、というマッカーサーの判断。しかし、いずれ絶えるように皇族の縮小化は図った。今まさに男系男子の皇室継続危機にさらされている)、天皇の人間宣言、政教分離等により、国民の一体化を阻む施策(国家神道の廃絶)を次々と断行した。靖国神社も焼き討ちにする案があったが、イ...
ブログ

Anti-globalization

私の企業人としての歴史を振り返れば、1980年代後半からグローバリゼーションが始まったと言える。最初に海外赴任をしたのは1988年である。それまでも先進的な同僚は海外に出向いていたが、まだ少数派だったように記憶している。会社員を卒業する2013年までは、世界がグローバリズムに向かって進化していることに対して何らの疑問も持たずにやってきた。しかし、昨今はイギリスのEU離脱やアメリカのパリ協定破棄など反グローバリズムが台頭してきており、その他の国でも自国第一主義を旗印に票を伸ばしている右翼政党が目立つようになってきた。どうやら、「経済のグローバル化は生活を豊かにする」とこれまで疑問も持たずに突き進んできたことに、大きな疑問符が付くようになってきたようである。 そもそも世界史的に見れば、最初のグローバリゼーションは15世紀にはじまる大航海時代が起源であろう。これによりヨーロッパ諸国がアジア・アメリカ大陸に植民地を作り始め、経済のグローバリゼーションや物流のグローバリゼーションを起こしてきた。その地球規模の獲得競争の行きついた末が、2つの世界大戦だったとも言えよう。焦土と化したヨーロッパ諸国は...
ブログ

如来・菩薩・明王・天部

先日、親父の七回忌を終えた。特段、仏教信者ではないし、神道に帰依しているというわけでもない。「普通」の日本人のように無宗教の空間に暮らしている。俗に葬式仏教だとか、正月は神社にお参りするだとか、年末になれば何となくクリスマスを祝う。そういった意味での「普通」の日本人である。海外に行くと、無宗教というのは、一般には信じられない存在で、「特に宗教はないけど」などというとエイリアンのように思われたものだ。それゆえ、キリスト教だとか、ユダヤ教だとか、昨今ではイスラム教がかなり台頭しているので、表面的には勉強もし、スンニ派とシーア派の違いや、なぜに反目しあうのか、偶像破壊をする連中はどういったドグマに侵されているのか等、国際政治の一端を知る上で教養としての知識は身に着けたつもりではいる。 しかし、考えてみれば仏教も色々な宗派があり、何が同じで、何が違うのか、あまりわかっていない。歴史上、宗派間で争ったということも聞いていない。実家の菩提寺は浄土宗であるが、時折、浄土宗だったか、浄土真宗だったか、度忘れする程度の宗教観と実生活においての距離感がある。年をそれなりに取り、神社仏閣に何となくノスタルジ...