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人工知能やロボットに奪われない職業とは

ほぼ1年前になるが、「人工知能やロボットには奪われない『8つの職業』」という記事が出ていた。 1)Nostalgist-人それぞれの最良の記憶により、ポジティブな感覚を生み出すセラピスト能力を有した環境デザイナー 2)Localizer-快適なコミュニティ作りを行うソーシャル・ワーカー能力を有した調整役 3)Robot Counsellor-家庭にアシスタントとして入っていくロボットを、ニーズに合わせて提案し、安心して使えるようにするアドバイザー 4)Company Culture Ambassodor-企業の価値観を浸透・共有させ、仕事が楽しいという環境と雰囲気をつくり出す世話役 5)Simplicity Expert-世の中に情報が氾濫し複雑性が益々増す中で、要点を見つけだし、単純化できるマネジメント 6)Auto-transport Analyst-ドライバーを必要としない自律走行車が増えていく中で、問題を予防し、不測の事態に対処できる物流専門家 7)Healthcare Navigator-病院内のみならず自宅でも様々なヘルスケアが進展していく中で、どういった治療が最適かをアド...
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政治体制と企業組織

今年の暦が終わろうとしていますが、暖かい毎日が続き年末の実感が湧きません。世界に目を転じると、世界中がISの脅威にさらされる中、IS空爆の有志連合は広がりを見せ、断続的に空爆を続けていますが、アメーバのような過激派組織はゲリラ的に移動を繰り返し、未だ大きな脅威として年を越すことになりそうです。シリア紛争から4年、難民は1000万人を超え、周辺国に流出しています。国が安定していないということの恐ろしさをまざまざと見せつけるものです。 また、今年は中国の台頭が政治経済両面で際立った年とも言えます。政治的には南沙諸島への中国の「赤い舌」はまさにその象徴で、経済的には成長率鈍化が世界経済を脅かす要素となるほど無視できない存在となっています。AIIBの創設も西欧諸国中心の枠組みに対抗して世界覇権を狙う動きと捉えられるでしょう。 ロシアは実質プーチン独裁の下、ウクライナ紛争の末、クリミア併合を果たしたものの、その結果として経済制裁を受け、さらに資源安の煽りも受け、経済成長は今年に入ってマイナスになりました。エネルギー輸入国日本に秋波を送り、北方領土の解決も全く無理という状況から変化が出てきそうです...
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ストレスチェック義務化に物申す

2014年6月改正労働安全衛生法によって、  1.(50名以上の事業所について)全従業員へのストレスチェック実施  2.高ストレス状態かつ申出を行った従業員への医師面接  3.医師面接後、医師の意見を聴いた上で必要に応じた就業上の措置 の3点が、企業のメンタルヘルス対策強化の大きなポイントとされた。 1.の通称「ストレスチェック義務化」法が2015年12月1日から施行され各企業での対応が慌ただしくなっているようである。様々な企業がストレスチェック義務化対応サービスをセールスプロモーションしているが、本来は上述2.3.の質向上の重要性がもっと語られるべきであり、今改正では「出来るだけ実施することが望ましい努力義務」として定められた「ストレスチェックの集団分析※及びその結果を踏まえた職場環境改善」の後段の職場環境改善に繋げることこそが、企業の活動の重点になるべきであると私は思う。そう考えると、「ストレスチェック義務化」という言葉だけが踊っている今の状況は、非常に表層的対応であると感じると同時に、文字通り誰かに踊らされているのではないかと疑心暗鬼になる。 (※集団分析とは:個人結果がわからな...
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政治問題解決の糸口

仏パリで同時多発テロが起きた。13日の金曜日というキリスト教にとって忌まわしい日を選んだとも言われる。死者は129人、負傷者は352人と報道されている。有志国連合によるシリアへの空爆が実行に移されて、このような事態は想定できたが、仏当局の厳戒治安体制の中でも悲劇は起きてしまった。仏オランド大統領は非常事態を宣言し、早速IS兵への容赦ない報復を行うと国民に約束をした。 2001.9.11米同時多発テロに対して報復を宣言したブッシュ大統領の声明がよみがえる「これはアメリカへの宣戦布告だ!」(この時も911はアメリカのEmergency Call Numberの日に合わせたのかと言われた)。その後のアフガニスタン侵攻、イラク戦争、アルカイダやタリバンへの空爆、そしてウサマ・ビンラディンを10年かけて追い詰めて殺害した。イラク戦争の口実とされた大量破壊兵器は2004年のCIAデビッド・ケイ特別顧問の「我々は見通しを誤っていた」証言や、情報源となった国防総省の専門家の自殺などを巡って、どうやら「まずイラク攻撃ありき」で根拠はなかったというのが真相のようである(のちに911はアメリカによる自作自演...
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アメリカでチップ廃止の動き

2か月ほど前の米New York Times誌に”As Minimum Wages Rise, Restaurants Say No to Tips, Yes to Higher Prices.”という記事が載った。最低賃金が上がって、サーバー(ウェイター・ウェイトレス)の生活が保障されるようになるのであれば、チップは不要。でもメニューの値段は上がりますよ、という論旨である。この記事を多くのメディアは、「レストランにおけるチップの習慣を廃止する動きがアメリカの一部で広がっているが、多くのレストランは静観の構え」と報じている。しかし、単純に捉えると最低賃金が上がるので、チップは不要です。その代わりメニューの値段は上げさせていただきます。つまりお客の支払いは何も変わらないということである。チップが無くなることによってこれまでも大したサービスとは思われなかったサーバーの接客の質がさらに落ちるかもしれない。ひいては顧客満足は低下するかもしれないという含みを私は感じるが、厄介なチップの習慣に煩わされなくなるのは歓迎だ。 そもそもチップという習慣は何故あるのかを紐解くと、イギリスの貴族社会に起源が...
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フードサプライチェーン

9月27日の国連本部で振る舞われた昼食は、舌の肥えた世界の首脳らを驚かせるのに十分なものであったろう。 昼食を担当した料理人たちは、現代人の食生活にみられる多大なる無駄が、世界的な気候変動に影響を与えていることの再確認につながることを願い、本来なら廃棄処分されるはずだった材料(ゴミ)のみを使って料理を完成させたのだ。 国連本部で提供されたのは、野菜類の絞りかすを原料とするベジタブルバーガーと、それに添えられた「でんぷん状のトウモロコシから作られた『コーンフライ』」だった。 このメニューを考案した著名な料理人ダン・バーバー氏は、「典型的なアメリカ料理をビーフではなく、牛の餌となるトウモロコシで作った。通常なら捨ててしまうものから、本当においしいものを作り出すことへの挑戦」と語った。 と同時に、今回の昼食会のようなイベントを通じて、食文化が徐々に変わっていくことを期待しているとして「長期的な目標は、残飯から食事を作らないようにすることだ」と食べ物の無駄を削減すべきであるとコメントしている。 国際連合食糧農業機関(FAO)の要請により、スウェーデン食品・生命工学研究機構(Swedish In...
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うなぎとビール

すっかり秋めいてきました。晩夏にこんなに雨が降り続くのも珍しいですね。一時の猛暑が嘘のような涼しさです。7月後半から猛暑の夏の定番というべき「うなぎ」を食べたい食べたいと思い、たまたま用事があった江戸川橋付近の創業1910年という鰻屋に電話をしてみると昼でも予約が一杯で入れないとの応対。それ以来なかなか機会が無く、たまにスーパーやデパートの食品売り場でうなぎを見かけるものの、一尾3000円では、絶対鰻屋で食べるべきと心に決めていました。8月に入ってやっとその機会に恵まれ、横浜でボリュームたっぷりのうなぎ中入り丼(御飯の間にもう一枚鰻の蒲焼が入っている)4400円と生ビール600円、それに消費税で〆て5400円20分で平らげ大満足をしました。しかし、一食5400円というのは贅沢なので、なかなか一人で鰻屋に入る決心がつきませんでした。夜の宴会で5400円は普通の会費、ちょっと後輩にウェイト付けされれば10000円は飛んでしまいます。鰻の五千円と飲み会の五千円は前者が贅沢に聞こえるのに対して、後者は普通そんなもんだろうと感じます。前者が20分、後者が2時間といった単位時間当たりのコストも関係...
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戦争とテクノロジー

「戦争とは他の手段をもってする政治の継続である」とクラウゼヴィッツは、その著書「戦争論」(1832年出版)の中で「戦争とは何か」を近代における戦争の本質に迫る形で理論立てて表現した。この著書が名著と謂われる所以は、それまで「いかにして戦争に勝つか」ばかりを論じていた軍事学において、初めて戦争という事象を国民国家との関わりで論じた点にある。 猛暑が続く日本は今年終戦70年の節目を迎え、今、参議院では安全保障関連法案の審議が行われている。TV各局は恒例とも言える第二次世界大戦を中心に色々な角度から特集を組んで放映する。8月6日の広島へのウラン型原子爆弾投下、8月9日の長崎へのプルトニウム型原子爆弾投下、そして8月15日の終戦に至る過去の戦争の反省をもとに、将来の禍根を絶つことの重要性は今もこれからにおいてもいささかも揺るがない。誰しも戦争を望んでいる訳ではない。戦争を起こさないこと、戦争に巻き込まれないことの手段や方法論を論じているという意味において、議会で論戦を張っている政府もどの党も会派も同舟であると信じたい。 過去の出来事を反省の材料にすることは同意であるが、過度に過去に拘泥してしま...
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麻生さんの財政赤字心配ない理論

「自民党麻生太郎が日本の借金について説明! コワモテな麻生先生ですが超わかりやすく聴きやすい!」なんてコメントが書き込まれています。 この動画は2010年に録画されたものですが、「そう、その通り!」「これはペテン!」とネット上で多くの議論が起こっています。 麻生さんのスピーチの要旨は、「マスコミや財務省は借金のことだけ喧伝するけれど、ギリシャなんかと違って日本は国債のほとんどを国民が円建てで持っているので、国民の資産である。政府の借金は札を刷って返せばいい」という論理です。ちょっと乱暴すぎる要約ですが、日本の財政破綻なんて心配はいらないと言いたいわけです。 麻生さんの論理は財務諸表の貸借対照表の考え方で、貸方と借方があって、右側は日本政府の借金、左側は国債という国民資産がある。ギリシャみたいに、外国の金で支えられているわけではなく、日本国内でバランスしているので、財政破綻はないということです。三橋貴明さんも日本の国家資産は5000兆円超あって、日本政府の資産は480兆円ある。日本政府の借金が1000兆円超くらいではどうってことないという論理を展開しています。しかし、日本銀行「資金循環統...
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大企業と中小企業

経営再建中のシャープが1200億円弱の資本金を1億円にするというニュースが5月に駆け巡った。狙いのひとつは取り崩した資本金で累積損失を一掃し、他社との資本提携や復配(累損を解消しなければ株主に配当金を支払うことが出来ない)、新たな増資を模索すること。もうひとつは資本金を1億円以下にすることで法人税法上の「中小法人」とみなされ様々な軽減措置を受けられることである。しかし、後者に関しては私が調べたところシャープのような実質大企業(売上高3兆円弱、従業員5万人弱)で得られる措置は微々たる法人税軽減と外形標準課税の適用除外くらいなもので十億円程度の効果しかないのではないかと思われる。シャープは16年3月期も1000億円を超える赤字が見込まれるため、財務体質がこれ以上傷むのを恐れ苦肉の策を取るに至ったと思われるが、前者が主なる狙いであったと推測する。しかし、残念ながら市場はこの報道を嫌気して株価が26%も下がる事態となってしまった。結局、この件は5億円に減資するという顛末で幕を下ろしたが、一体「中小企業」という定義は何であろうかという疑問を湧き起こした。 中小企業基本法の定義では、製造業・卸売業...