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フードサプライチェーン

9月27日の国連本部で振る舞われた昼食は、舌の肥えた世界の首脳らを驚かせるのに十分なものであったろう。 昼食を担当した料理人たちは、現代人の食生活にみられる多大なる無駄が、世界的な気候変動に影響を与えていることの再確認につながることを願い、本来なら廃棄処分されるはずだった材料(ゴミ)のみを使って料理を完成させたのだ。 国連本部で提供されたのは、野菜類の絞りかすを原料とするベジタブルバーガーと、それに添えられた「でんぷん状のトウモロコシから作られた『コーンフライ』」だった。 このメニューを考案した著名な料理人ダン・バーバー氏は、「典型的なアメリカ料理をビーフではなく、牛の餌となるトウモロコシで作った。通常なら捨ててしまうものから、本当においしいものを作り出すことへの挑戦」と語った。 と同時に、今回の昼食会のようなイベントを通じて、食文化が徐々に変わっていくことを期待しているとして「長期的な目標は、残飯から食事を作らないようにすることだ」と食べ物の無駄を削減すべきであるとコメントしている。 国際連合食糧農業機関(FAO)の要請により、スウェーデン食品・生命工学研究機構(Swedish In...
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うなぎとビール

すっかり秋めいてきました。晩夏にこんなに雨が降り続くのも珍しいですね。一時の猛暑が嘘のような涼しさです。7月後半から猛暑の夏の定番というべき「うなぎ」を食べたい食べたいと思い、たまたま用事があった江戸川橋付近の創業1910年という鰻屋に電話をしてみると昼でも予約が一杯で入れないとの応対。それ以来なかなか機会が無く、たまにスーパーやデパートの食品売り場でうなぎを見かけるものの、一尾3000円では、絶対鰻屋で食べるべきと心に決めていました。8月に入ってやっとその機会に恵まれ、横浜でボリュームたっぷりのうなぎ中入り丼(御飯の間にもう一枚鰻の蒲焼が入っている)4400円と生ビール600円、それに消費税で〆て5400円20分で平らげ大満足をしました。しかし、一食5400円というのは贅沢なので、なかなか一人で鰻屋に入る決心がつきませんでした。夜の宴会で5400円は普通の会費、ちょっと後輩にウェイト付けされれば10000円は飛んでしまいます。鰻の五千円と飲み会の五千円は前者が贅沢に聞こえるのに対して、後者は普通そんなもんだろうと感じます。前者が20分、後者が2時間といった単位時間当たりのコストも関係...
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戦争とテクノロジー

「戦争とは他の手段をもってする政治の継続である」とクラウゼヴィッツは、その著書「戦争論」(1832年出版)の中で「戦争とは何か」を近代における戦争の本質に迫る形で理論立てて表現した。この著書が名著と謂われる所以は、それまで「いかにして戦争に勝つか」ばかりを論じていた軍事学において、初めて戦争という事象を国民国家との関わりで論じた点にある。 猛暑が続く日本は今年終戦70年の節目を迎え、今、参議院では安全保障関連法案の審議が行われている。TV各局は恒例とも言える第二次世界大戦を中心に色々な角度から特集を組んで放映する。8月6日の広島へのウラン型原子爆弾投下、8月9日の長崎へのプルトニウム型原子爆弾投下、そして8月15日の終戦に至る過去の戦争の反省をもとに、将来の禍根を絶つことの重要性は今もこれからにおいてもいささかも揺るがない。誰しも戦争を望んでいる訳ではない。戦争を起こさないこと、戦争に巻き込まれないことの手段や方法論を論じているという意味において、議会で論戦を張っている政府もどの党も会派も同舟であると信じたい。 過去の出来事を反省の材料にすることは同意であるが、過度に過去に拘泥してしま...
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麻生さんの財政赤字心配ない理論

「自民党麻生太郎が日本の借金について説明! コワモテな麻生先生ですが超わかりやすく聴きやすい!」なんてコメントが書き込まれています。 この動画は2010年に録画されたものですが、「そう、その通り!」「これはペテン!」とネット上で多くの議論が起こっています。 麻生さんのスピーチの要旨は、「マスコミや財務省は借金のことだけ喧伝するけれど、ギリシャなんかと違って日本は国債のほとんどを国民が円建てで持っているので、国民の資産である。政府の借金は札を刷って返せばいい」という論理です。ちょっと乱暴すぎる要約ですが、日本の財政破綻なんて心配はいらないと言いたいわけです。 麻生さんの論理は財務諸表の貸借対照表の考え方で、貸方と借方があって、右側は日本政府の借金、左側は国債という国民資産がある。ギリシャみたいに、外国の金で支えられているわけではなく、日本国内でバランスしているので、財政破綻はないということです。三橋貴明さんも日本の国家資産は5000兆円超あって、日本政府の資産は480兆円ある。日本政府の借金が1000兆円超くらいではどうってことないという論理を展開しています。しかし、日本銀行「資金循環統...
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大企業と中小企業

経営再建中のシャープが1200億円弱の資本金を1億円にするというニュースが5月に駆け巡った。狙いのひとつは取り崩した資本金で累積損失を一掃し、他社との資本提携や復配(累損を解消しなければ株主に配当金を支払うことが出来ない)、新たな増資を模索すること。もうひとつは資本金を1億円以下にすることで法人税法上の「中小法人」とみなされ様々な軽減措置を受けられることである。しかし、後者に関しては私が調べたところシャープのような実質大企業(売上高3兆円弱、従業員5万人弱)で得られる措置は微々たる法人税軽減と外形標準課税の適用除外くらいなもので十億円程度の効果しかないのではないかと思われる。シャープは16年3月期も1000億円を超える赤字が見込まれるため、財務体質がこれ以上傷むのを恐れ苦肉の策を取るに至ったと思われるが、前者が主なる狙いであったと推測する。しかし、残念ながら市場はこの報道を嫌気して株価が26%も下がる事態となってしまった。結局、この件は5億円に減資するという顛末で幕を下ろしたが、一体「中小企業」という定義は何であろうかという疑問を湧き起こした。 中小企業基本法の定義では、製造業・卸売業...
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レジリエンスジャパン推進協議会

産・学・官・民のオールジャパンで日本の国土強靭化を推進していこうという「一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会」の会合に出席した。国土強靭化のScopeは非常に広範囲に渡っており、インフラ・エネルギー・情報通信・金融・産業・コミュニティ・農林水産・教育・交通物流・保険医療介護福祉など国の全分野を網羅するほどの大きなものである。会の目的である「人命を守り、国家及び社会機能の致命的障害を受けず、被害を最小化し、迅速な復旧復興を可能にする」という理念からすれば、当然とも言えるScopeではあるが、却って活動の焦点がぼけてしまうのではないかとの懸念を私は持った。5月26日に行われた本会では、国土強靭化と地方創生に絞って各界のスピーカーが論壇に臨んだ。 話題のひとつは「東京一極集中からの脱皮」である。BCPの視点から企業の本社機能移転に触れていたが、公官庁機関が東京に集中している状況を放置して、企業だけ地方に行って産業を興してよという理論には無理がある。経済特区などの構想も進行しているが、その地域の強みや特徴に沿った支援策を打たねば、ただ優遇税制だけで動くほど企業は近視眼的ではない。第一次産...
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第六回早稲田会議(日立川村改革の2000日)

早稲田大学国際会議場 井深大記念ホールで、日立製作所前会長の川村隆氏の話を伺った。ちょうど日経新聞の私の履歴書で掲載されている川村氏は、日立が2009年に7873億円の最終赤字を計上し、子会社から呼び戻されて経営の舵取りを任されたのが69歳であった。日立は100年は当時輸入に頼っていた鉱山用掘削機を国産化したことが事業の始まりで、ベンチャー企業であったという。掘削機用のモーターや発電所、運搬用の鉄道を自力で開発し、今10兆円の大企業に成長している。しかし、同業他社と同様にバブル崩壊後の1990年頃から低迷が続き、その低迷は20年にも及んだ。川村氏によれば、その間3回立て直しのチャレンジをしたが、成功しなかったと言う。3兆円あった内部留保は1兆円に減り、今度失敗したら倒産するという危機感があったと言う。 日立が見事に事業転換を果たし、経常利益率10%を現実の目標とし得た今の姿は、①改革の意欲(尋常ならざる危機感 会社には10%ほどしかいない人材)、②外部からの視点を持った人(全く外部では困る、内部事情も知った子会社経験者~川村氏は3人の副社長を子会社から召還した)、③1年間は自身と副社長...
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Concurrent Management

Concurrent~という言葉はいくつもあるが、製造業に携わっている人であれば、真っ先に思い浮かぶのがConcurrent Engineering(CE)であろう。CEの始まりは1982年にDARPA(Defense Advanced Research Projects Agency/アメリカ国防高等研究計画局)が設計プロセスを向上させる研究をしたことが始まりとされている。開発の初期段階から設計・調達・生産技術・製造・品質管理さらにサプライヤーが参加して最適設計を実現しようという試みである。期待される効果は、リソースの有効活用であり、開発期間の短縮、原価低減などである。CEを日本語に無理に訳せば「同時進行技術活動」となろうか。まれに並列的(parallelly)と解説しているものもあるが、間違いである。ConcurrentもParallelも共に同時進行という意味合いはあるが、parallelではそれぞれが距離を保って交わらない活動になってしまう。これではCEの本質的意味を解していないことになる。 1990年代にはBPR(Business Process Re-engineering...
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今、改めて開発購買を考えてみる

数年前、とある会社で「購買本部」を「開発本部」に統合し、「開発・購買本部」とするという組織改革を行った記事を見た。「開発購買」という言葉は、製造業ではかなり市民権を得たものと思うが、それを文字通り体現したような英断なのであろうか。私はこの会社の詳細は分からないし、社内事情にも勿論精通していないので、その経緯や背景はわからない。なぜこの記事が気になったかというと、筆者が調達部門長として、開発購買のさらなる進化を目指していた時、開発設計部門と調達部門との融合をかなり真剣に具現化しようと議論していたことがあったからである。 蛇足ながら、開発購買を定義付けしてみると、「商品企画・開発設計段階から、計画利益を確保するために、製造原価や品質・納期などの目標を達成すべく、開発設計・調達・サプライヤーが三者連携で協働推進する一連の活動」と言えるであろう。そもそも開発購買は「製品開発段階での購買活動」の略であるから、設計者の行う仕様決定・図面作成の一連のプロセスに、市場環境やモノづくりに精通した専門家たるバイヤーが関与して、初期段階からのQCDの最適化を実現していく活動である。 サプライヤーの能力を十分...
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国民の義務と権利

中学校で憲法に定められた「日本国民の三大義務」を教わります。①保護する子女に教育を受けさせる義務(小中学校教育)、②勤労の義務、③納税の義務の3つです。教わって以降、普段疑問に思ったり、気にしたりすることはありませんでしたが、最初の海外赴任から帰国した91年7月後半、①について面を食らうことがありました。3人の学童期の子供がいましたが、もう一学期を数日しか残していないある日に区役所に転入届を出しに行った時のことです。親としては夏休み期間中に3年ぶりに帰国した日本に慣れてもらってから、二学期から登校すればいいという呑気な気持ちでいました。区役所の窓口では「子供には教育を受ける権利があります。明日から学校へ登校させてください。」と強い口調で言うのです。義務教育を受けさせるのは親の義務であり、子供の権利であるいうことですが、親として子供にしかるべきアイドリング期間を設けてスムースな日本の学校への導入を図るのが、親としての務めであるとの考えは今でも変わっていません。ショッキングな出来事として一生忘れえないお役所の対応でした(今はもう少し柔軟な運用が図られていることを願います)。 文科省が昨年発...