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ギリシャ神話

ギリシャ神話に興味を惹かれたのは、「岸壁に鎖で繋がれたアンドロメダ姫を海獣から救う英雄ペルセウス」を主題とした絵画がいくつもあることを知ったのがきっかけだった。ペルセウスは翼のあるサンダルを履き宙を飛び、あのブランド名にも使われているエルメス(ゼウスの子)から授かった金剛の鎌ハルペー(刀剣)を右手に、左手には怪物メドゥーサの首を掲げ海獣に立ち向かう。メドゥーサは首を打ち取られたとはいえ、眼光の魔力は消えず、海獣はその魔力によって石と化し、ペルセウスはアンドロメダを救い出す。ペルセウスはのちにアンドロメダと結婚するが、アンドロメダには婚約者がいたので、その顛末は単純ではない。 アンドロメダがなぜ岸壁に繋がれていたかというと、その母カシオペアが自らの美貌は神にも勝ると豪語したことから、怒った神々から生贄にされたもがアンドロメダだった(なぜカシオペアではないのか? 白雪姫の話はこの話をモチーフにしてる?などギリシャ神話は突っ込みどころ満載で楽しい)。 ペルセウスはアルゴス王の娘ダナエ―と最高神ゼウス(様々なものに変身して人界に現れ、あちこちに子供をつくる何でもありの浮気者)との間に生まれた子...
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調達2022 迷える調達購買部員へ

変異株のオミクロン株は幸いなことに日本においては感染拡大が迅速な水際対策によって今のところ抑えられてきましたが、欧米での感染者数は目を疑うほど急拡大を続けています。丸二年続いている新型コロナの影響で、親族や友人に会えない時期が続いていましたので、この年末年始は人の移動が確実に増えると思います。これによって感染拡大が進むと思われますが、毒性が弱まっているという報告もあるので、徐々に日常生活が戻ってくるのではないかと願っています。 この2年間、ビジネスにおいても大変な制約条件の中で、調達購買部員の皆さんはご苦労されてきたものと思います。原材料の値上がりから始まり、半導体などの品不足や納期の長期化、コンテナの偏在による物流の停滞など悩ましい状態が来年もしばらくは続くでしょう。年末年始くらいは頭を空っぽにしてゆっくり休んで英気を養ってください。最後の砦はご自身の心身の健康にあるのですから。 私の仕事は対面が基本ですが、一昨年昨年とオンラインやアーカイブでの仕事も徐々に増えてきました。しかしながら、早く対面に戻って皆さんのお顔の表情を確認しながらコンサルやセミナーを行える平常モードに切り替えが進...
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労働の未来

巷では労働力不足が叫ばれている一方で、AIやロボティックス技術の急速な進展により人々の仕事が奪われると言われている。国内における所得格差が多くの国で指摘される一方で、政情不安な国から安定と仕事を求めて先進国へ難民や移民が押し寄せ、先進国では治安が乱され職を奪われると権利を主張する人々が政権を揺さぶる。マクロで見ればこれまでの技術の進展により明らかにそれまでの人々の労苦は代替され楽になってきたわけだが、ミクロで見ると自分の仕事を機械化やIT化により奪われたとみる向きもあるのは当然であろう。産業革命時において労働者による機械焼き討ちはあったし、銀行などの金融業界でも人員削減が進められ将来的には大量解雇が計画されている。技術の進展が早ければ早いほど、労働者はその変化のスピードに対応できないし、今後の技術変革そのものの高度化はさらに対応し生き残れる人々の門戸を狭めていくであろう。私自身は既存の大方の労働観と言われた「生活の糧とする労働」を軸に無事リタイアするところまで来ることができたが、これから人生100年時代と言われる将来のある若い人たちにとって労働とはどういうものは明らかに思考の変革を求め...
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旧約聖書を紐解く

ユダヤ教やキリスト教徒ではないので、ホテルにある聖書を開いたことはないし、当然詳しいわけではない。キリスト教に目覚めたわけでもないが、旧約聖書をお話として触れてみると、源流において他宗教との相似点が多々あるし、現代の人間関係においても大いに示唆に富むものと思い無謀なチャレンジをしてみようと思い立った。 旧約聖書はモーセ五書と言われる律法の書、9つの歴史書、全16巻の預言書、全6巻の詩書により構成されている。今回はそのさわりとして「創世記」の序盤を抄訳してみたい。モーセ五書の「創世記」の冒頭は第1章「天地創造」から始まり、天地創造の7日間が今日の1週間に繋がっている。 第1章「天地創造」 第1日目 光と闇を分け昼と夜を創った 第2日目 空を創り空の下と上に水を分け空を天とした 第3日目 水を集め陸と海を創った 第4日目 太陽と月を創り天の星を散りばめた 第5日目 空と海の生き物を創った 第6日目 地上に獣、家畜、人間を創り人間をすべての生き物の支配者とした 第7日目 すべてを創り終え休息した 『神様にならって日曜日は休みましょう。働きすぎはよくないです。これからしんどい仕事はAIやロボッ...
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「戦争は女の顔をしていない」

標題はベラルーシの作家であり、ジャーナリストであるスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ女史の著書である。彼女は2015年ノーベル文学賞を受賞している。彼女は表題の作品以外にも、「アフガン帰還兵の証言」でアフガニスタン侵攻に従軍した人々や家族の証言を集めたり、「チェルノブイリの祈り」では、チェルノブイリ原子力発電所事故に遭遇した人々の証言を取り上げている。 戦争とは、平和的解決が困難な国家間の諸課題を兵力を用いて闘争することである。戦場では如何に勇猛果敢な兵士と言えども、想像を絶する個人権利の蹂躙下に置かれる。戦争は勝者敗者共に永く癒えぬ物心両面の痛手を被る。近代ではベトナム戦争中のアメリカの退廃ムードはその代表例と言えよう。戦後は多くの人間が後悔の念に苛まれる行為であることは様々なルポルタージュや文学作品によって、私を含め多くの経験のない人々にも警鐘となっている。 戦場は多くが肉体的優位性を持ったマジョリティである男性の言葉で語られることが多いが、本書はアレクシエーヴィチ女史が多くの女性戦場経験者をインタビューすることによって、女性目線での戦争の内実を抉り出そうと試みている極めて稀有な作...
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菅政権の実績

菅義偉総理は9月3日、次期自民党総裁選への不出馬を表明し、事実上総理を辞任することとなった。菅総理は総裁任期満了となる9月30日をもって退任し、自民党総裁選で選出された新総裁が党役員人事・組閣に着手する。10月上旬に召集される臨時国会で首相指名が行われ、新内閣が発足する運びである。その後、首相が衆院を解散するか、あるいは衆院任期満了まで待って、衆議院議員選挙が行われる。 菅首相は新型コロナのまん延で解散のタイミングを逸してしまった。起死回生の党役員再編(具体的には二階幹事長解任)もレイムダック化した菅首相に指名されて今更党役員のなり手はなく、最後は派閥を持たない菅首相の基盤の弱さを露呈する結果となった。解散権と人事権を失って「詰んでしまった」首相の哀れな姿が印象的であった。 思えば1年前に安倍前首相の病気退陣を受けて、ご本人曰く「総理になるつもりはない」と仰っていた当時の菅官房長官は急遽登板という形で総理総裁となった。その時からリリーフ総理と言われたことを思い起こせば、1年という短期で終わる菅政権は意外ではないという論評も可能であろう。 新型コロナ対策の実績を問えば、マスコミは総動員で...
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実子誘拐ビジネス

孫たちが10日間ほど遊びに来てテンヤワンヤではあったが、毎日のように成長していく姿を見るにつけ微笑ましく、先人が「子宝」と大切にしてきた気持ちに改めて共感している。先日は5歳児が保育園の送迎バスに炎天下9時間取り残され、死亡するという信じられない事件が起こった。テレビでは祖母が泣き崩れる姿が映し出されたが、両親はもとよりご親族の心痛如何ばかりかと察するに余りある痛ましい事件である。普段から運転は園長単独で行い、園に着いた時にも保育士らは全員降りたかの確認を怠っているという。園内においても点呼いわゆる欠席かどうかの確認をしていなかったという。1~2時間内に少なくともこれら確認が行われれば、園児が熱中症で死亡することは防げたのではないかと考えると無念でならない。 折しも時まさにオリンピック真っ最中である。オリンピック開催に賛否両論あったが、毎日のメダルラッシュに歓声を上げ、ややお祭り騒ぎの様相に人流が減っているとはいいがたい。オリンピック開催に際してはコロナ(デルタ株)感染拡大が心配されたが、心配通り感染者数はうなぎ上りで緊急事態宣言の効力に明らかな黄色信号が灯っている。一方でオリンピック...
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コロナにまつわるエトセトラ

記憶を遡れば2019年12月30日に原因不明の肺炎について李文亮眼科医(1月3日訓戒処分、2月7日新型コロナ肺炎で死去、3月5日政府より表彰)がWeChatに画像として投稿し、翌日WHOへ最初の報告が行われてから1年半、我々はかなり長いこと新型コロナと付き合い続けてきている。事の始まりは同年11月22日に中国湖北省武漢市で「原因不明のウイルス性肺炎」として最初の症例が確認されていたが、武漢警察が「虚偽情報」として隠蔽、武漢を都市封鎖したのは1月23日。しかし、時すでに遅し5000万人が武漢を離れて各地に散ってしまった後であった。中国全土で見れば春節時に延べ30億人の大移動が世界中を駆け巡っていた。テドロスWHO事務局長がパンデミック宣言したのは3月11日であるから、日本を含めた国連盲従国(United Nationsを国連と訳したのは、誤訳か意図的か、紛れもなく戦勝国連合が正訳)は2か月以上ウイルス入国を野放しにしてきたことになる。日本政府は変わり映えのしない国内の感染予防対策(三密回避、マスク着用、緊急事態宣言による営業自粛、リモートワーク推進など)を声高に訴え続けているが、その効果...
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中国の統治の歴史~習近平はどこへ向かうのか~

秦の始皇帝が中国全土を統一したのは紀元前221年である。中華統一を果たした始皇帝は度量衡・文字の統一、郡県制の実施など様々な改革を行った。また、匈奴などの北方騎馬民族への備えとして、それまでそれぞれの国が独自に作っていた城壁を繋げて整備し「万里の長城」に結実させた。思想的には焚書坑儒を断行し抵抗勢力の芽を徹底的に摘む政策を取った。阿房宮という壮大な宮殿の建築も行い、農民は過酷な労働に苦しみ、さらに極度の圧政まで加えられた。そのことで全国各地の不満を高めてしまい、のちの反乱を生むことになる。 統一から11年後の紀元前210年に始皇帝は死去したが、主を無くした秦では全国に反乱の火の手が上がり、秦は紀元前206年に滅亡する。のちに前漢初代皇帝に就くかの有名な劉邦に降伏した秦は実はたった15年の治世で終わりを告げてしまったのである。 秦は周から王朝を奪取して成立したが、周、とくに前半の西周は儒教において理想的な時代とされている。周の政治制度は、周王が一族や功臣、地方の有力な土豪を諸侯と任じ、一定の土地と人民の支配権を与え、統治した封建制である。周王と諸侯、諸侯とその家臣である卿大夫は、擬制的な...
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コロナ禍に想う~時間の束縛から解放へ~

私は8年前にサラリーマンを卒業したので、通勤(痛勤)の毎日からはだいぶ遠ざかっている。コロナ禍も丸一年を超えて二年目に突入して漸くワクチン接種が始まったところに、今度は変異株の猛威で東京オリンピック・パラリンピックの開催に赤信号が灯っている。勤め人の多くは在宅勤務やリモートワークに切り替わり、私の知人は今年5回しか会社に行っていないと言っていた。毎日定時の通勤が当たり前だった現代社会において、外出禁止令にも近い緊急事態宣言発令下で改めて「出社」とは何だったのだろうかと思いを巡らす人も少なくないのではないか。会社に居れば仕事をしたことになるといった楽天家はその存在が危うくなっているだろう。時間は全ての人に平等に与えられている(難病を抱えた方は別として)。金持ちは1日100時間を手に入れられるということにはならない。 懐中時計は1700年代に王侯貴族など上流階級の人々が使い始めたようであるが、腕時計の開発や量産が始まったのは19世紀後半になってからである。きっかけは戦争で、砲撃などの作戦を間断なく実行するために兵士は迅速に正確な時刻を知る必要があり、トレンチコートの中に入れている懐中時計で...