
コロナ禍に想う~時間の束縛から解放へ~
私は8年前にサラリーマンを卒業したので、通勤(痛勤)の毎日からはだいぶ遠ざかっている。コロナ禍も丸一年を超えて二年目に突入して漸くワクチン接種が始まったところに、今度は変異株の猛威で東京オリンピック・パラリンピックの開催に赤信号が灯っている。勤め人の多くは在宅勤務やリモートワークに切り替わり、私の知人は今年5回しか会社に行っていないと言っていた。毎日定時の通勤が当たり前だった現代社会において、外出禁止令にも近い緊急事態宣言発令下で改めて「出社」とは何だったのだろうかと思いを巡らす人も少なくないのではないか。会社に居れば仕事をしたことになるといった楽天家はその存在が危うくなっているだろう。時間は全ての人に平等に与えられている(難病を抱えた方は別として)。金持ちは1日100時間を手に入れられるということにはならない。 懐中時計は1700年代に王侯貴族など上流階級の人々が使い始めたようであるが、腕時計の開発や量産が始まったのは19世紀後半になってからである。きっかけは戦争で、砲撃などの作戦を間断なく実行するために兵士は迅速に正確な時刻を知る必要があり、トレンチコートの中に入れている懐中時計で...