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世界史の大河と日本

日本で初めて開催されたG20が無事に閉幕した。メディア的には米中の貿易協議の行方や、多分にパフォーマンス的な板門店で行われた米朝会談が注目を集めたが、「癖の強い」各国のリーダー達を受け止め、安倍首相がホスト国のリーダーとして主導権を発揮しえたことは、日本の存在感をさらに高めつつ、成功裏に終えたこととして十分評価に値するものと思う。 G20は2008年のリーマン・ショック時の世界金融危機の深刻化を受けて、20か国・地域首脳会合(G20 Summit)として開催されたのがその始まりである。それまでのG7ではこの難局に立ち向かえないとして、世界のGDPの90%・貿易総額の80%を占め、加盟国の総人口は世界の3分の2を占める国々にまで参加国を広げ、金融サミットとして始まったものである。今回のG20では招待国・国際機関を含めると37ヶ国の要人が一堂に会し、世界経済、貿易・投資、エネルギー、デジタルデータ、環境対策、雇用等の幅広い議論を行う公式の場となった。 しかし、参加国が増えれば増えるほど、議論百出で全会一致という形に持っていくことはなかなかできるものではない。G20 における首脳宣言は、全会...
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調達購買10の原理原則

今回は調達購買の原理原則について論じてみたい。製造業と一口に言っても様々な業種があり、購入品の種類や特性も数多くある。非製造業においても外部から全く何も購入しないという企業は存在しない。何らかの商品やサービスを提供するにあたって、外部への依存無しに価値ある完成品を創り上げることは不可能と思われる。あらゆる調達購買部門に共通する原理原則として次に掲げる10項目を参考にしていただきたい。 ①調達倫理の確立:法令遵守はもちろんのこと、法律に違反しないから何をやってもいいということにはならない。取引に際して、嘘を言ってはならない。騙してはならない。ビジネスにおける会社対会社間、個人対個人間において約束をしたことを守るのが基本である。やむを得ない事情により、約束が守れなかった場合には誠実にその弁済を図るべきである。国際取引において意図して騙そうとする組織や個人がいるかもしれないが、約束を守ろうとしたあなたが悪いわけではない。しかし、相手を見極めることが出来ずに安易に騙されたとあってプロとしては失格である。 ②取引の公正・公明・公平:会社を代表して取引に当たるあなたは個人の嗜好で与えられた権限を濫...
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利子の歴史

利子とは、貸借した金銭などに対して、ある一定利率で支払われる対価のことである。金融機関などから借りたお金に対しては当たり前のように利子が付く。高度成長の時代には銀行に預けたお金に対しても当たり前のように利息が付いてきたものだが、約20年続いている日銀の超低金利政策導入以来、利息がほとんど付かないのが当たり前になってしまった。平成という時代は平和であったが、低成長の時代でもあった。 日本の利子の歴史を紐解くと、律令体制の時代にコメなど租税として納められないほど困窮した百姓には、神への捧げものとして保管されていた米を貸し与えるということが為されていた。その場合、返す時には借りた米より多い米を神様に返礼するということが行われていたそうで、日本では利子という概念が何らかの形で認識されていたようだ。 ヨーロッパに目を転じると、古代ギリシャの海上交易でも利子を伴う貸付は広く行われていたそうであるが、アリストテレスは「貨幣が貨幣を生むことは自然に反している」(「政治学」1巻10章)と反論している。 宗教的には旧約聖書でも新約聖書でも、利得を期待せずに無償で貸すべきであるという教えが中世キリスト教にお...
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やめることの大切さ

コンサルティングに携わっていると、事業計画やKPI設定なのでよく訊かれる質問がある。「これで漏れはないでしょうか?」「何か抜けていませんか?」、あるいは最近のバズワード(特定の期間や分野で人気となった言葉のことであるが、もっともらしいけれど実際には定義や意味があいまいな用語)に対して、「どう対応したらいいか?」「他社はどうやっていますか?」というような質問を度々受ける。 調達購買部門は社内では守りに入っているケースが多く、社内の様々な「突っ込み」に対して防御する姿勢が強い傾向がある。何か言われても、「このように対応しています」とか、数字を示し「順調に推移しています」とか、説明という名の言い訳を常に準備しておかないと気が休まらないところがある。調達購買の仕事は上手くいっている時は目立たないが、ひとたび問題が発生するとやたら目立つ類の業務で、IT部門と似たようなことろがある。しかし、あれもやります、これもやっています、KPIはこのように50項目管理しています、っていうのが本当の調達事業計画であり、KPI管理であろうか? 歴史のある大企業の調達購買部門ほど、そういった傾向が強いように感じられ...
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アメリカ本土を爆撃した史上唯一の男

倉田耕一著「アメリカ本土を爆撃した男」を読んだ。奮戦記と思って読んだのだが、全く当てが外れた。読む進むうちに涙が滲んできてしかたがなかった。 その男、藤田信雄は帝国海軍きっての腕利きパイロットで、潜水艦に搭載されるたった全長8.5mの零式小型水上偵察機を操ってオレゴン州のブルッキングスという町の山中に1942年9月9日焼夷弾を打ち込んだ。 それに先立つこと5か月前の4月18日、日本は初めてアメリカによって本土空襲に見舞われた。米空母から発艦したドーリットル中佐が指揮する16機のB25は、東京、川崎、横須賀、名古屋、四日市、神戸を爆撃し、国際法で禁じられている「民間人に対する攻撃」(校庭掃射など)を行った。日本国民の怒りが沸騰するのは当然であった。 それを受けて、4月21日に軍令部に呼び出された藤田は、上記のオレゴン州森林への爆撃命令を受ける。サンディエゴの海軍基地でもなく、ロス・アンジェルスの飛行機工場でもなく、なぜ人もいない森林なのかと藤田は訝った。 作戦はこうである。アメリカの西海岸はレッドウッドなどの森林が多く、そこに焼夷弾を打ち込んで火災を発生させれば、折からの強風により大火災...
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国際機関

日本政府は昨年12月26日、クジラの資源管理について議論する国際捕鯨委員会(IWC)を脱退し、商業捕鯨を再開することを決定した。日本がIWCに加盟したのは1951年であるが、IWCは1982年に資源の枯渇を理由として、商業捕鯨の「一時停止(モラトリアム)」を決定している。日本は1988年に商業捕鯨を中断したが、その前年の87年から、商業捕鯨再開に向けた科学データの収集を目的とする調査捕鯨を開始した。商業捕鯨の中断から約30年にわたり、日本はIWCでその再開を訴え続けてきたが、先の総会で科学的データを根拠として商業捕鯨の再開を目指す捕鯨支持国27、動物愛護を主張する反捕鯨国41(棄権2)の前にIWCにおける商業捕鯨再開の大目標を断念した。 個人的にはもっと早く脱退していてもおかしくないと思っていた。過激暴力集団シーシェパードの資金集め材料の対象とされ、標的とされた和歌山県太地町の努力と訴えは世界的に見て私には余りに無力に写ったからである。事実、2007年の総会でも脱退は示唆されていた。裏話では、商業捕鯨再開によって国際社会からの批判を受けたくない外務省と、再開を訴え続けてきた捕鯨関係者や...
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わび・さび

昨年、十数年ぶりに金閣寺(鹿苑寺)を訪れる機会を得た。外人観光客が溢れ、その一行の流れについていく格好で庭園内を歩いていくうちに、何か外国の観光地にワープしたような感覚に襲われた。 金閣寺は室町幕府3代将軍足利義満が将軍職を子の義持に譲ったあと、1397年に西園寺を譲り受け2階3階を金箔貼りに一新し、政治の実権を握っていた山荘である。義満は南北朝の合一を果たし、有力守護大名の勢力を抑えて幕府勢力を確立した。また、明との勘合貿易で巨万の富を得て、その権勢を誇るため、また明への誇示もあって豪奢な金閣寺を造ったと思われる。4代義持も義満と同様に長男の義量(よしかず)に将軍職を譲ったが、その5代義量は夭折した。6代義教(よしのり)はくじ引きで決まり、僧から俗世に戻る還俗の上で、将軍職に就いた。くじ引き将軍の義教は幕府権力強化のために、強引な強権政治を行ったが、却って部下の守護大名の反発を買い、最後は謀殺されてしまう。義教の死後、幕府は急速に弱体化し、嫡男の義勝が8歳で7代目を継ぐも翌年死去。その弟の義政が幼年にして8代目を継ぐことになり、後に銀閣寺(東山慈照寺)を建立することになる。 金閣寺と...
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科学技術の進化から人の幸せを考える

先月28日、ヒトゲノム編集国際会議に出席した賀准教授は「ゲノム編集」を使った受精卵から双子が誕生したとその実験の説明を行った。同氏によると、研究に8組のカップルが参加したが、すべてのカップルについて、男性側がすべてHIV陽性で、女性全員はHIV陰性であり、HIV感染しにくくなるゲノム編集の研究の正当性を述べたという。同会議組織委員会の委員長を務める米カリフォルニア工科大学のデビッド・ボルティモア教授をはじめ、各国の専門家は賀氏の研究を倫理規則に反していると批判し、実験の真偽について疑問を呈した。 賀氏は中国当局が主導する海外の最先端技術を習得し中国に持ち帰る「千人計画」に参加する人物で、当初中国人民日報は「中国の疾病予防分野におけるゲノム編集技術の応用が歴史的成功に達した」と自画自賛したが、国内外からの批判が噴出したため、この数時間後、同記事は削除されている。そして中国科学技術部の高官は賀氏を「調査の上、処分する」と発言し、同氏は現在無給休暇中とされている。 科学者が後になって自分自身の発明を悔やんだものは過去いくつもある。ノーベル賞の創始者であるアルフレッド・ノーベルは彼の弟の命を奪...
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ブルー・オーシャン戦略

先月、「ブルー・オーシャン戦略」(以下BO戦略)の著者のひとり、INSEAD教授であるチャン・キム氏の講演を聴く機会を得た。「BO戦略」は2005年に刊行され、ベストセラーとなったが、競争の激しい既存市場「レッド・オーシャン(赤い海、血で血を洗う競争の激しい領域)」(以下RO)から、競争のない未開拓市場である「BO(青い海、競合相手のいない領域)」を切り開くべきだとする経営戦略は、当時米国から帰国し、競争の真っただ中にいた当時の私には、ある種の「絵空事」のように聞こえ、本書を手にすることは無かった。とはいえ、世界360万部、44カ国語に翻訳された世界的ベストセラーである本書の内容は表面的ではあるが、把握しているつもりでいた。 最近になって、「競争しない」という概念がいくつかの著書において、クローズアップされてきている。フェイスブックを初期から支えたピーター・ティール(テスラ、ユーチューブ、リンクトインなどの名だたる起業家を輩出したペイパルの伝説的共同創業者)は、トランプ大統領の政策アドバイザーを務め、「競争をしない唯一無二を目指す」という信念でDisruptive(破壊的)Innova...
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在留外国人、中国残留邦人

日本民族の定義とは何であろうか。現代的解釈で言えば、日本語を母国語とする日本列島にルーツを持つ人々ということになろうか。法的解釈からすれば日本政府に申請すれば日本のパスポートが発行される人々ということになろうか。やや歴史を遡れば、大和民族に加え、近世になって日本人に組み込まれたアイヌや琉球民族が包含されよう。いわゆる植民地時代には武力による征服国家に組み込まれた被征服国家の民族も含まれるであろう。 人類学的に言えば、縄文人が日本人のルーツということになっている。2千数百年ほど前には大陸から朝鮮半島や山東半島を経て、渡来人がやってきて(弥生人)席巻したと言われるが、今や縄文人と弥生人の区分けを論じ差別する一般人はいない。 人類のルーツはアフリカのホモ・サピエンスということは定説である。そこから3つのルートで世界に出ていった人類の全ての遺伝子が日本にやってきたとDNAの研究結果から元大阪医科大学学長の松本秀雄氏は言う。氏によれば、現代日本人の半数が弥生人系統、3割が縄文人系統と解析されている。私が最初に外国を旅したのは大学3年生の時であるが、韓国ソウルの百貨店において、店員から容赦なく韓国...