米ビデオレンタル大手のブロックバスターは来年1月前半迄に営業中の直営店約300店を全店舗閉鎖すると発表した。ピーク時3000店を誇ったブロックバスターは日本で例えるならTSUTAYA。そこが全店閉鎖してしまうマグニチュードは想像に難くないであろう。インターネットを通じた動画配信が主流となり、DVDレンタルの需要が急激に縮小しているため、全店閉鎖に追い込まれた恰好である。私が駐米中にはアメリカ人の定番として金曜日には好きなDVD(古くはVHSカセット)を何枚も借りてきて、友人と一緒にポテチしながら 「ながら視聴」して深夜まで楽しむのがかなり一般的だった。DISCレンタルからNetworkへの転換を象徴する出来事である。この流れは必ず日本にもやってくる。
ブロックバスターは現在、米衛星放送2位のディッシュ・ネットワークの傘下であるが、遡ること2010年9月に連邦破産法第11章を申請して倒産に追い込まれた。ブロックバスターを倒産に追いやったのが、店舗を持たずに郵送でDVDを貸し出すネットフリックスなどの新業態である。ブロックバスターも遅ればせながら 郵送でのDVDレンタル業務で追随したが時遅し、今回の発表でこの配送センターも閉鎖する。
ディッシュ・ネットワークは2011年4月にブロックバスターを買収して立て直しを図ったが2年半で断念ということか。ディッシュは「ブロックバスター」のブランド名を活用し、既に衛星放送やネットを通じた動画配信を手掛けており、 今後はデジタル配信事業に注力するとのことである。
Music Deviceの歴史をひも解いても1962年にコンパクトカセットテープが、1982年にCDが登場。1992年にMD、2001年にiTuneとTape→Disc→Net配信と変遷が見て取れる。これらの変遷は単に技術変化として捉えるだけでなく、これら技術の変化を通じて消費者の価値観の変化をももたらしている点が注目すべき点だと思う。音楽・映像コンテンツの「所有からの開放」とも言えるだろうか。お気に入りのレコードやCDなどを買い集めて棚に並べて自慢するのは50代以上の世代か、マニアに限られ、一般には聴きたい音楽を聴きたい時にStockではなくFlowで扱うのが特に若者には多いのではないか。
レイチェル・ポッツマンとルー・ロジャースの書いた「SHARE」の所有から共有に変わっていく価値観、エネルギー問題の観点では消費から循環型社会への要請、ネットワークとリスク回避は集中から分散を志向するなど、ビジネスで同世代の男性が集まって議論していたのでは社会変化の対応に追いつかない気がする。企業の重要案件こそ老若男女あらゆる観点から指向性の検証をすべき時代である。
コメント
りょうたさん、コメントありがとう。10~11月と結構出歩いています。企業人はInnovationするためにいると言っていいのではないかと思います。ICT化・自動化など一度定型になったことは文明の利器がやってくれます。決して大げさな発明でなくても業務のあちこちに、Processのそこかしこに、また人々をより幸福にするアイデア等も結構ころがっていて、意識してそれを感じようとすれば目に飛び込んでくるものです。それらを具現化していくことが創造的企業人の役目ではないかと思います。
ご無沙汰しております。お変わりないでしょうか。
私も先日の朝刊でBlockbuster閉鎖の記事を目にした時は驚きました。
日本では知名度低く、共感してくれそうな人がいなかったので思わずコメントしちゃいました。
私が渡米していた94-96年には街でかなりの店舗数を見かけた記憶があります。
(しかしながら映画館が格安なのでBlockbusterを利用したことはほぼなかったです。当時はまだビデオ主流・・)
時代の流れとは思いますが寂しいものです。
昨日社内で、某楽器メーカーと交流する貴重な場に出席させてもらいました。
世代間は勿論、企業間の壁もある程度取り払って協業してイノベーションを起こしていく必要があるのかなと。