Carbonless EnergyとMoneyの話

最近ブログに対してMailやLINEでいくつかコメントを頂戴しました。PositiveなFeed Backなので書いている本人にしてみれば嬉しいのですが、反面ちょっとしたPressureでもありますね。あまりサボってもいられない気分になります。調達購買が専門の「調達科学研」ですが、調達購買を広く捉えていくと政治経済の問題に波及していきますし、もっと広く捉えれば人間の本性、地球規模の問題、人類の幸福とはという命題に至っていきます。私の専門分野はセミナーやコンサルティングの中でお話してまいりますので、ブログではちょっとはめをはずすことをお許し下さい。

株主総会が今週から来週にかけてPeakを迎えるようです。アベノミクスに乗じてという訳ではないですが、考える時間に余裕が出来ていたので、資産運用Portfolioの一環で、いくつか成長が見込まれる応援したい企業の株を昨年買っていました。株主総会のご案内の手紙が来ましたので、時間が許す限り経営者の生の声を聴くという意味において参加するようにしています。昨日は日立製作所の株主総会に出席しました。社長の中西さんは以前氏が合弁子会社のHGST副社長時代に仕事の関係でSan Franciscoの本社でお会いしたことがあります。その時のご対応、その後のMailでのFollow Upなど丁寧に応対頂いたので非常に好感を持っていました。本体の社長になられてからは果敢に事業の選択と集中を進められ、将来これからの「日立」の姿を形づくられているだけでなく昨年度4.7%の営業利益を実績として出されています(一部株主からは中期計画の5%目標に達していないのは努力不足と叱咤される場面もありましたが)。

株主総会では業績報告や決議案件、当社の課題などが一通り説明されますが、なんといっても株主総会のMain Eventは質疑応答の時間です。ここでのやりとりは、株価のちょっとした動きだけを睨んで日中売り買いを繰り返しているDay Traderの方々には感じられないであろう、会社の品格というものを感じ取ることができます。初っ端の質問は国際環境NGOのGreenpeaceの方から、十分練り上げた原稿を滔々と読み上げ、要は「原発はやめなさい」という趣旨の半ば団体のアピールも含めての発言(会場前では「原発メーカーの日立の株主総会の会場はこちら」という黒地に黄文字の案内看板をおどろおどろしく掲げていました)。それ以降の質問者の半分の方々もそれぞれ表現は違いますが同様な趣旨の発言をされていました。3.11の傷は簡単に癒えるものではありません。心情的には良くわかります。それらの抗議とも受け取れる多くの質問に対して、担当の役員と中西社長は「原子力発電を将来に亘っての重要なエネルギー源」としてこれからも安全対策に注力し推進していく、「決して(死の灰をばら撒くような)恥ずべきことをしているのではない」と決意を語られていました。

他の質問や応援の発言など多々出ましたが、感心したのは応答した全ての役員が株主をまっすぐ見据え自分の言葉で真摯に語っていた点です(勿論想定問答の準備はあったでしょうが)。こういった場面で決算報告書などの書類に現れない会社の品格というものを感じることが出来ます。私自身3.11以降、当分原発再開はないと思っていましたし、あのような事故が起きるとどうしてもNegativeな感じを持たざるを得ないのは仕方のないことだと思っていました。

そんな折、Columbia大学のJeffery Sachs地球研究所長の話を聴く機会がありました。教授曰く「近年CO2濃度は400ppmに達し危険域を超えている。過去300万年での推移は200~300ppmの間を行き来し寒冷期と温暖期を交互に繰り返していた(過去300万年のDataってあるんですね??)」。要は近年の温暖化は自然サイクルを大きく超えていて、「CO2濃度が倍になったら温度は3~5℃上昇し、海面が数m上昇、その結果100を超える沿岸都市が海に沈む」「CO2が海水に溶けて酸化し、食糧確保が困難になる。窒素化合物が水に流れ込んで汚染を引き起こす」。教授は【ANTHROPOCENE】という新語を用いて、人類が自ら人類の世紀に終止符を打つことに警鐘を鳴らしています。勝手に北斗の拳風に言えば「お前はもう死んでいる」と手遅れかもしれない懸念も表明していました。

地震の頻度は過去からそれほど変わっていないそうですが、異常気象と呼ばれる洪水、台風、干ばつ、竜巻などの発生件数は過去の頻度の数倍に上っている数字も出されていました。つまり代替エネルギーを考える時に経済計算で考える時は過ぎていて、すぐにでもCarbonless Energyに代えていかないと地球はあと30~40年しかもたない。それは新興国にはできなくて先進国がやらなければならない義務であり、挑戦であると締めくくっておられました。原発反対を唱える方々がArmishのように一切電気を使わない生活をされるのであれば一貫性はあると思いますが、電気のない生活が出来ない多くの人達は本当に真剣にエネルギーの節約とCarbonless Energyへの切り替えを行わなければならないと切に感じた講演でした。

前段で揶揄したDay Traderが操るMoneyも個人の眠れる金融資産であったり、大切な老後を支える年金基金であったりと個人個人にその意図は無くともMoney Gameに一役買っていたりするわけで、身の回りの事柄とそれを取り巻く大きな仕組みの両方を見極めて身を処していく必要がありますね。来週は東電の株主総会に行ってきます。

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