ほぼ1年前になるが、「人工知能やロボットには奪われない『8つの職業』」という記事が出ていた。
1)Nostalgist-人それぞれの最良の記憶により、ポジティブな感覚を生み出すセラピスト能力を有した環境デザイナー
2)Localizer-快適なコミュニティ作りを行うソーシャル・ワーカー能力を有した調整役
3)Robot Counsellor-家庭にアシスタントとして入っていくロボットを、ニーズに合わせて提案し、安心して使えるようにするアドバイザー
4)Company Culture Ambassodor-企業の価値観を浸透・共有させ、仕事が楽しいという環境と雰囲気をつくり出す世話役
5)Simplicity Expert-世の中に情報が氾濫し複雑性が益々増す中で、要点を見つけだし、単純化できるマネジメント
6)Auto-transport Analyst-ドライバーを必要としない自律走行車が増えていく中で、問題を予防し、不測の事態に対処できる物流専門家
7)Healthcare Navigator-病院内のみならず自宅でも様々なヘルスケアが進展していく中で、どういった治療が最適かをアドバイスする医療コーディネーター
8)Makeshift Structure Engineer-3Dプリンターなどの構造設計者、突発的な災害に即応して緊急用施設などを作る現場監督的エンジニア
この8つの職業とAIロボットがいれば、全て万事心配ないとは思えないが、人工知能やロボットが確実に社会及び家庭に入ってくる近未来がやってくる。そんな環境変化の中で、必要な能力として浮かび上がってくるのは、新しいテクノロジーへの造詣が深く、社会科学(心理学、教育学、社会学)や数学、さらにコミュニケーション能力を横断的に駆使する総合力のようである。それは今でも様々な局面で求められている能力であり、特段目新しさはない。将来益々求められ、かつ人間同士の接点になくてはならない要素を強調しているとも言える。
翻って現代人は総じてコミュニケーションの問題を抱えている。上司と部下、親子関係、男女関係、世代間、様々なところでその問題の存在の大きさが浮き彫りにされる。IT技術の進歩ゆえと言えば聞こえがいいかもしれないが、メールのやり取りが増え、直接顔を合わせて議論をする機会が少ない。ネット上の一文に過剰反応し、炎上した挙句にリアルな世界で凄惨な事件も起きている。直接のコミュニケーションを避けて、Virtualの世界に浸かり、思うように行かなくなったらリセットボタン。傷つくのが怖くて告白できない。男女交際は気を使わなくてはいけないので面倒だからしない。このような存在では明らかにロボットに取って代わられてしまう。恋人はゲームやアニメの主人公。いい大人になってもアイドル追っかけ。人間が一番面白いのになぁと思うおじさんここに在り。
人間とロボットの共存は選ぶ立場の人間が心地よいと思える相棒を作れるかにかかっている。ロボットが鉄腕アトムのようなヒューマノイド型になり、ドラえもんのようにネコ型ロボットとは言え、ほぼ人間同等のコミュニケーションをしているように、技術者は使命感をもって、その実現に邁進していくであろう。その時、人とのコミュニケーションを避けてきた人間はさらなる疎外感に苛まれはしないだろうか。
Technological Singularity(技術的特異点)という言葉を度々聞くようになった。人類のこれまでの技術開発の歴史から推測して得られる未来予測の限界を指す言葉である。特異点の後では科学技術の進歩を支配するのは、人類ではなく人工知能(AI-Artificial Intelligence)となるため、人類の過去の傾向に基づいた変化の予測モデルは通用しなくなるという考えである。
何十年後か何百年後かわからないが、現在の人類には理解できない未来が待っているとしても、人間同士が健全なコミュニケーションを積極的に図り、AIを活用して幸せな暮らしが実現できていることを私の初夢話として、ひとまず筆を置きます。本年も宜しくお願い致します。
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